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実は、みんな自分がほしいものをわかっていない、 という話

今日は月次会議の日。

すっかり定例会議はZoomでやることが一般的となりましたが、なんら不都合がない。きっとこれは「一般的な会議の仕方」として定着するでしょう。

ところで、そのZoomに「偉いひとを上座表示できるようにする機能を追加した」というニュースを先日見ました。

幸い、当社ではそんなこと気にする上層部は誰一人いませんが、わざわざ機能を実装するところをみると、日本国内で一定数のニーズがあったということですね。

個人的には、Zoomには早く「自動書き起こし機能」を実装してほしいのです。そうすれば、議事録をとる必要もない、参加できなかった人はテキストデータで全体を数分で把握できる。

それにしても、ユーザーはこうやって、好き勝手に「こんな機能がほしい」「これは不便だ、なんでこんな仕組みなんだ!」と言いたい放題であります。

でも、ユーザーのそういった「声」というのは、いま存在するものに対してのみ発せられるもので、まだ現れていないものに対して、具体的に「 これこれこういうものがほしい」と言える人ってほとんどいないそうです。

たとえば、iPhoneを割れない画面にしてほしい、 指紋がつかないガラスにしてほしいなど「すでにあるもの」に対しての意見要望はたくさん耳にします。

でも、iPhoneが登場する2007年以前に、そもそも「スマートフォン」がほしい、 と言ってた人はいただろうか?

消費者は賢いけどイマジネーションは無い

だいぶ昔の話だが、村上龍氏が発行するメーリングリスト(Japan Mail Media2008年7月23日発行)にて、社会システム・ デザイナー横山禎徳氏がこんなことを書いていた。 

10年前の文章なので、引用アーティスが古いですが、 本質的な部分は革新をついているとおもいます。

ワンプッシュ型の携帯電話が出て来るまでに、
消費者は「パッと押すと開く携帯電話が欲しい。 だから作ってくれ」
とパナソニックに言ったわけではないのです。
常に企業が仮説をして、 これは良いということで作っているわけです。

いつも言いますのは
「浜崎あゆみが出て来たら嬉しい」
 と言った高校生はいないよということです。

出て来る前に「 出て来てくれ」と言った人はいません。
出てきてはじめていい悪いという評価はできるのです。
消費者は賢いけどイマジネーションは無いのです。
だから、 見せてやらなければいけません。
そこが一番難しいと思います。

顧客に「なぜ」と聞いてはいけない

上記記事の8年後、2016年の記事になりますが、 プレジデントにこんな記事がありました。これまた、顧客/消費者は答えを持っていないという話です。

以下、内容をまとめてみました。

商品開発や新規ビジネスを行うにあたり、 よく行われるのがマーケティング・リサーチです。マーケティング・リサーチの基本は、顧客に「なぜ」 と聞いて答えを出すこと。

でも、本記事を書いている水越准教授は顧客に「なぜ」 と聞いてはいけないという意見をもってます。

なぜなら、顧客に「なぜ」と聞いても、 顧客が答えを持っているわけではないからです。合理的な理由づけを相手に強制することになりがちで、 その答えは本心からのものとは言えないのです。100人が「欲しい」と答えたからといって、 その商品が売れるとは限らないのが現実です。

じゃあ、なにに頼ればいいんだよ?となりますよね。水越准教授によると「なぜ」と聞くべき対象は顧客ではなく、「 自分自身」だといいます。

顧客が「これが欲しい」と言っているからつくるのではなく、「 これをつくろう」という自分の確信を問い直すのです。 ほかの人がどう思っているの>か、本当のところはわかりません。 しかし、自分が何かを見て感じたことは、確かなことです。 確実なことを調べたほうが、より生産的ではないかと思うのです。

なお、水越准教授はマーケットリサーチが不要だとは言っていません。リサーチで得た結果を、証拠とするのではなく、「きっかけ」とせよ!と主張します。

調査結果を見て「これは何だ」 と思った瞬間がポイントです。「これは何だ」 と自分が思ったのはなぜかを考えるのです。
(中略)
自分が何かしらの思いや考えを抱いていることに対して、 そもそもどうしてそんなことを考えてしまったのかを考え、 問い直す思考法。自分の内部に入っていくことを通じて、 その正しさを確認しようとします。 私たちが時に何かしらの確信を得ることがあるのは確かであり、 そういう確信が得られたこと自体は疑いようがないのです。

このように自分の感性を深掘りしていく行為こそが、マーケット・ リサーチをするより、 市場のニーズのはまるものやサービスを生み出すことができるのだそうです。

自分も一生活者であり、消費者であるのだから、 周りがどうかを深掘りするのではなく、自分はどうなのか?なぜそう感じたのか? を深ぼっていくことで生活者= マーケットのもとめていることを知ることができる。

なるほど!とうなずき過ぎて、首がもげそうな話でした。

本日は以上です。


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