『2020年代の想像力 文化時評アーカイブズ2021-23』
『2020年代の想像力 文化時評アーカイブズ2021-23』
著者:宇野常寛
出版社:早川書房(ハヤカワ新書)
発行年:2023年8月25日
(内容紹介)
ポリティカル・コレクトネスとアテンション・エコノミーの間で、もはや表現の内実(虚構)よりも、作品を語るアクション(現実)の側に人々が強く快楽を覚える現代において、「虚構」の価値はどこにあるのか? 『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』『すずめの戸締まり』『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『怪物』『街とその不確かな壁』『鎌倉殿の13人』など、この時代を代表する作品の分析を通じて強大な「現実」に抗うための想像力を提示する、宇野常寛の最新文化批評30篇を一挙収録。
私自身がいかに思考停止しているかが分かる、とても刺激的な本でした。どんなに自分の見栄やプライドを総動員させたとしても、このような発想や着想などは考えられないし、羨望の眼差しでしかありません。収録されている作品すべてを観た/読んだわけではありませんが、どれもおもしろかったです。特に、観たことがある『ブラッシュアップライフ』(『ブラッシュアップライフ』と「平凡」の問題)と『silent』(『silent』と「リア充」の問題)については、後頭部を殴られたような感覚になり、新たな気づきを得ることができました。そして、『初恋の悪魔』(『初恋の悪魔』と「謎解き」の問題)は視聴したくなったので、今度Huluで観ようと思います。
また、最近好きで読んでいる『SPY✕FAMILY』も〈『SPY✕FAMILY』と「家族」(と少年性)の問題)〉でこういう視点もあるのか! と驚きました。
そして、最後のボーナストラック〈古畑任三郎の最高傑作はなぜSMAPとの対決篇なのか〉は、古畑任三郎好き(といっても半分くらいしか観てませんが……)の私にとって、本当にボーナストラックでした。田村正和さんの俳優としての変遷と、『古畑任三郎』というフォーマットと、SMAPという平成を代表するアイドルグループ……。読み終えてものすごく納得しました。
こういう新しい知見を提示してくれたり知的好奇心をくすぐってくれる本もやはり好きだなあ、と思いました。また読み返しそうです。
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