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『ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークⅩⅧ』

【 ネタバラシはありません 】

『ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークⅩⅧ』

著者:石田衣良
出版社:文藝春秋
発行年:2022年9月10日

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(内容紹介)
ヤングケアラー、賽銭泥棒、ネットの美人局、悪質ペットショップ――
次から次へと舞い込む嫌な話に、
今日もマコトは覚悟を決める――
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 池袋ウエストゲートパークの最新刊、待っておりました。第18作目です。
 本書は、シリーズ15作目『絶望スクール』で描いた事象をまた違う角度から切り込んでいる短編もあります。それだけ根が深いのだなあと。また、相変わらずコロナ禍に関する描写もあります。マコトたちと同時代を生きていると想像するだけで、もう少し人生がんばってみようと思ったりします。

■「常盤台ヤングケアラー」
 重たい「主題」です。それを、マコトがただ「同情」するだけではなく、相手のことを慮って行動している様をみて、私にもこういうことができるのか? 私は恵まれている、良かったで済まされない、と思いました。
■「神様のポケット」
 今どき賽銭泥棒っているのか……私が知らないだけでいるんだろうな、と。あと、なぜあの人はそういう行動をとったのか。それに対する答えを読んで、「伏線あったっけ?」と一瞬頭によぎった私に、また別の感情も呼び起こす……。マコトとタカシの「借りを返す」話、いい関係性です。
■「魂マッチング」
 主要キャラの一人が、思いも寄らないことをします。……むしろ、そういう先入観で彼を見ていたあたり、私は傲慢だったかもしれません。彼の何を知っていたのだろうかと少し反省しました。「主題」に関していうと、ひと昔より有象無象に存在していて、確かにこういうことが起こっているよなあと思いました。
■「ペットショップ無惨」
 懐かしい方々が再登場します。(ただ、そのお話の内容があまり思い出せないので後で再読します。悔しい。)白と黒を行き来できるマコトだからこそ「主題」に立ち向かうことができるのだなと、また改めて認識しました。対峙する相手が大きすぎる。でも、やっているひどさは、大小関係ない。私が知らない世界で、次そういうお店を通りがかったとき、以前とは違う目で見てしまうかもです。

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