『「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く』

『「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く』

著者:島田裕巳

出版社:講談社(講談社現代新書)

発行年:2016年5月20日

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 日本人と神の謎に迫る  なぜ天照大神は皇祖神になれなかったのか/神道と仏教の仲介役を果たした八幡神の存在とは/大国主命は創造神としての性格をもっていたのか/菅原道真の怨霊を鎮めたことが「人を神として祀る」はじまり/なぜ代々の天皇は、長い間、伊勢神宮に参拝をしなかったのか/明治以降、新宗教が爆発的に広まった理由

 たまには自分が普段興味をもっていない分野の新書も読もう、ということで本書を手に取りました。「日本人の神」について、様々な角度から論じています。私は日常生活において「神」について意識することがほぼほぼ無いことに加え、神道についての知識が皆無だったため、なかなか読み進めるのが難しかったです。所々に知っている地名やら人名やらが出てきて、少しでも内容を理解しようと食らいつきました。そういう読書時間もたまには必要だなと考えました。

 最後に、個人的に興味深い箇所を抜粋しました。

〈神を祀るという行為は、たんに信仰対象として崇め奉るということだけを意味しない。そこではやはり、鎮めるという側面が強い。伊勢という、大和から離れた場所が選ばれたのも、天照大神の放つ禍々しい力を避けようとしてのことではなかったのか。〉(p.72)

〈道真の霊は最初、祟り神、怨霊として怖れられたものの、天神と習合し、北野に祀られることによって、今度はさまざまな利益をもたらしてくれる善神へと変貌を遂げていった。そこには、習合した相手が、天神という重要ではあるが、抽象的な神であったことが影響していた。抽象的な存在であるがうえに、道真のたどった人生の軌跡が影響し、さまざまな性格が付加されていったのである。〉(p.179)

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