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『一の悲劇』

【 ネタバラシはありません 】

『一の悲劇』

著者:法月綸太郎
出版社:祥伝社(祥伝社文庫)
発行年:1996年7月20日


(内容紹介)
「あなたが私の息子を殺したのよ!」山倉史郎は狂乱する冨沢路子の前に絶句した。それは悲劇的な誤認誘拐だった。犯人は山倉の子と誤って、同級生の路子の子を拉致したらしい。しかも身代金授受に山倉は失敗。少年は骸となって発見されたのだった。鬼畜の仕業は誰が、なぜ? やがて浮かんだ男には鉄壁のアリバイがあった。名探偵法月綸太郎と共にいたというのだ……。


 本書は再読ですが、内容がうろ覚えなのでほぼ初めて読んだような感覚でした。名探偵・法月綸太郎シリーズの4作目です。誘拐事件に巻き込まれた関係者の視点で話が進みます。『一の悲劇』の「一」は一人称からつけられたはずなので、終始「わたし」の目線で事件の動向を知ることになります。本格ミステリを読む時、一人称だと「信頼できない語り手」問題がどうしても頭から離れないので、本書はどうなのか……と気にしながら読みました。また、綸太郎にも久しぶりにお会いしました。スマートです。そして、事件の真相に辿り着くまでの道のりがなかなかに凝っていたので、最後は思わず一気読みでした。
 あと、「あとがき」を読んで、本書は名作『頼子のために』と『ふたたび赤い悪夢』の間に書かれた作品だ! や、法月さんが26歳にお書きになった作品か! などで、色々と変なテンションになりました。私が原尞さんが好きなのも、法月綸太郎さんからの影響があったのだろうなとも思いました。

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