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『朱色の研究』

【 ネタバラシはありません 】

『朱色の研究』

著者:有栖川有栖
出版社:角川書店(角川文庫)
発行年:2000年8月25日

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(内容紹介)
”2年前の未解決事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です”臨床犯罪学者・火村英生が、過去の体験(トラウマ)から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美からの突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった――。
さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った。2人はその関係者宅に急行すると、そこには予告通り新たなる死体が……?!
現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。
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 再読です。表紙が好きです。初めて図書館で借りて読んだとき、大胆かつ繊細な構成に魅了され、有栖川さんの作品をまだそんなに読んでいないのに関わらず「これ、一番好きかも……」と感じ書店に買いに行った覚えがあります。今回改めて読んでみて、やはり一番好きだなと再確認できました。大枠のトリック等は何となく覚えていましたが、それでも驚きは軽減されませんでした。そして何より物語に漂う雰囲気が良いです。特に夕焼けに関する記述がその雰囲気を増幅させていて、生々しくかつ魅惑的な数々の描写にやられてしまいました。また、本書のなかでは最後のシーンが一番好きです。書く人によってはある種独りよがりで危うい演出になってしまうと思うのですが、有栖川さんの筆力で見事に成立させていました。
 そういえば火村英生シリーズがドラマ化されたとき、『朱色の研究』も映像化するんだと喜んだ記憶があるのですが、本編を観た覚えがありません……。Huluで観ようと思います。

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