『回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち』

『回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち』

著者:岡田尊司

出版社:光文社(光文社新書)

発行年:2013年12月20日

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 内容紹介より。

 親密な関係が苦手、責任や束縛を嫌う、傷つくことに敏感、失敗を恐れる……。急増する回避型の愛着スタイルは、少子化・晩婚化の真の原因か? 現代人の壊れた愛着を考える。

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回避性とは、

〇親密な関係を避ける

〇責任や面倒を避ける

〇チャレンジを避ける

〇傷つくことを避ける

〇感じることを避ける

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『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』では愛着に関して広範囲に展開していましたが、本書は「回避性」に焦点を当てています。

 本書の巻末にもある「愛着スタイル診断テスト」をやってみた結果、私は【安定―回避型】というスタイルでした。だから本書は、ちょいと気になる内容の本でした。(ちなみに【安定―回避型】の特徴は、〈愛着回避の傾向がみられるが、全体には安定したタイプ〉だそうです。)

 これまた個人的な話ですが、今年友人たちと自己分析という作業をしました。就職活動以来なので、本当に久しぶりの作業でした。そこで、私は傍観者気質だということを打ち明けました。その場では省略しましたが、この「傍観者」というワードは、学生時代に読んだミステリ……ロス・マクドナルドが生み出した私立探偵リュウ・アーチャーから端を発しています。(敬愛する作家ですが、全作読めていないので……。大声で好きだと言えません。)出典は忘れたのですが、ざっくり言うと、リュウ・アーチャーのことを「質問者」「観察者」と評されている文章を読んで、「自分もそれに近いかもしれない」と思ったのが発端でした。かと言って、自分はすぐれた質問も観察も得意ではないので……ランクを一気に下げて傍観者というレッテルを自分にこっそり貼りました。その自分に貼ったレッテルが、著者のいうところの「回避型」の部分にいくらか当てはまるのではないかと今回ふと思ったのです。

 そういうわけで、本書を通して、頭の中で時々考えていたことが少し整理できたような気がしました。読めて良かったです。

 また、この箇所がグサッときました。〈回避型の人にとっては、働かないで暮らせることが、ある意味、理想である。外で働くよりも、家の中で好きなことをしていた方が、本当は気が和むのである。生きるためには、そんなことを言っていられないが、心のどこかには、こんな嫌な仕事や生活は放り出して、もっと自由で何も束縛もない暮らしを夢見る気持ちがある。だから隠遁や遁世への願望もある。〉(p.165-166)……これはいわゆる回避型の傾向があってもなくても、誰しも最低1回くらいは考えるような夢だと思います。私は周期的にそういう事柄を夢想してしまいます。(もちろん、そう思わない人もいるし、そんな暮らしを成功させている人もいるし、人生って本当に興味深いです。)

 お次は、『対人距離がわからない―—どうしてあの人はうまくいくのか?』(ちくま新書/2018年)を読みます。

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