【活動レポート】Vol.3 福島第一原発・被災地訪問 in 2022

こんにちは。福島視察を企画しております。加藤です。第一回二回のレポートに続きまして、今回は視察前に実施した自主勉強会及び視察前の被災者へのインタビューの様子をご紹介します。

今回は以下の二つの内容から構成されます!!

  1. 事前勉強会の様子:どんな発表があったのか!?

  2. 中央大学学員会の先輩に聞く、震災、原発事故当時の様子、得られた教訓


1.事前勉強会の様子:各人の発表の要約

発表の目的は視察までに”何も知らない状態を脱すること”でした。というのも、社会科見学やるにあたって、丸腰でいくのはなんだかな(失礼だなと)・・・とメンバー間の共通認識があったためです。そこで、「東日本大震災、福島、原発事故」などのキーワードをもとに各々がリサーチした内容でディスカッションをする取り組みをしました。各人の発表内容を簡単にこちらで紹介します!

①災害ボランティアについて・阪神淡路大震災と東日本大震災で比較
②被災者ではない”余所者”の被災地について考え
③1Fの国賠において両当事者の主張
④日本全国の原発の再稼働についての動きと、1Fの意義
⑤チェルノブイリ原発事故との比較
⑥廃炉の仕組み
⑦原発と原爆の関係性
⑧世界の原子力発電の動向

各回で別途用意した”問いの時間”を通じて、参加者はなるほどで終わらず、「これはどうなんだろう、あれはどうなんだろう」という新たな疑問が湧き、視察準備としての取り組みとしては期待以上の効果が得られたように感じます。

登壇者資料:①災害ボランティアについて 阪神淡路大震災と東日本大震災で比較より抜粋

2.中央大学学員会の先輩に聞く、震災、原発事故当時の様子、得られた教訓

事前勉強会ではメンバー間のリサーチ結果の発表に加え、福島にゆかりのある先輩に話を聞く機会ももうけました。その方の意向により、お名前を紹介することはこちらではできないのですが、当時は一被災者及びその様子を伝えるジャーナリストとして震災及び原発事故と関わられていた方に事前レクチャーを引き受けていただきました。

その方がレクチャーを受けて、個人で気になった点を一つ、最後に取り上げたいと思います。

福島の問題は福島で。処理水の取り扱いについて、国は十分に議論していたのか。

 原発事故によって発生した放射能に汚染された水の処理問題。汚染された水は科学的に許容される放射能の値を下回るまでに浄化された処理水となり、今は現地のタンクに保存されています。それらのタンクを新設する土地がもうないということで、福島県沖への海洋放出が2022年7月22日に原子力委員会の承認を受け、来春の実施が決まりました。

讀賣新聞 「福島原発「処理水」の海洋放出を正式認可…海底トンネル建設、来春の開始目指す」より(2022/07/22)

 同様の処理は国内・国外の他の原子力発電所においても一般的に確認されることです。しかし、いくら「安全」を訴えられても、それが科学的に安全だと言われても、人々が「安心」と思えないものである限り、そこには風評被害の懸念があると講師の方はコメントをされていました。
 そんな懸念がある処理について、講師の方は加えて「”安全な処理水”を”福島で処理することを前提”でしか検討しなかったのはなぜだろう」、という疑問も呈されました。

日本版のHow dare you?だなと。現代人、みんな考えないといけない問いなのでは?

The Guardian, "Greta Thunberg to world leaders: 'How dare you – you have stolen my dreams and my childhood' - video", Mon 23 Sep 2019

 この話、私は「あらゆるものが繋がっている現代を生きる人は必ず考え、自分のスタンスを明らかにしなくてはいけない問い」の一つなんではないかと思います。私には数年前に国連総会でグレタ・トゥーンベリさんのスピーチにあった発言にた問いだなと思いました。

We are in the beginning of a mass extinction and all you can talk about is money and fairy tales of eternal economic growth - how dare you!

Greta Thunberg at 2019 UN climate action summit

人々は先の戦争から反省し、平和の希求に辿り着きました。今を生きる人々は行きすぎた進化、成長への欲求を反省し、持続可能性の希求に現在は辿り着いたように思います。しかし、それは平和の希求ほど広く社会に浸透はしていません。
 先輩からの問いは、この”持続可能性”をどう考えるか、何を受け入れなければいけないのかを直視する機会を与えてくれるものであり、それを受けて私はどのように生きなければならないのかを考え直させるものだと思います。
 福島における原発事故の問題をきっかけにこのような問いと向き合うことができましたが、このような機会は意識的に持たなければ、きっと自分ごととして考えることにつながらなかっただろうなと思います。その点だけでも、私にとってこの視察は大変に意味あるものになった気がしています。(まだ、視察前でしたが)
 最後に、今の時代は情報が氾濫し、重要な情報をとるにも一苦労だなんて話がありますが、そもそもの「重要なものの視野」が狭いことの方が、課題のような気もしました。皆さんはどうお考えでしょうか。一新会のメンバーと何か話せたらいいなと思い、こちらで報告とさせていただきます。

次回は訪問の記録、その後の報告会の様子をお伝えできればと思います。

企画者のプロフィール:加藤英樹(かとう・ひでき)

1994年生まれ、東京都練馬区生まれ。地元の小中学校を卒業後、中央大学の附属校系列の高校に進学したのち、中大の総合政策学部で5年(うち1年のアメリカ留学)を過ごし、2022年で社会人5年目(コンサル会社からフィンテック業界)になります。
一新会は会長の谷村くんと一緒に立ち上げ、これまでにメンバー間の懇親会、現役生への留学相談、他の卒業生組織・同窓会や大学組織と協働でキャリアセミナーを実施してきました。

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