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小布施で、北斎の画力を体感!

もう2カ月も前のことですが、長野県の小布施にある葛飾北斎専門の博物館(美術館?)『北斎館』へ行ってきました。基本、博物館は東京国立博物館東博=トーハクにしか行かないのですが、今回は長野県まで遠征してきました。

実は同じ月に、たまたま東京都墨田区にある、北斎美術館へも行っていました。正直に言うと、その時に思ったのが……トーハクの浮世絵コーナーの方が充実してない? ってことでした。もちろん私がトーハク大好きだからっていうのもありますけどね。もう少し、色んな作品を見たかったし、使っていないフロアとかを使えば、もっと展示できると思うんですけどねぇ……とか。

それで家族&親戚と小布施の北斎館へ行った時も、まぁそれほど期待していませんでした。家族&親戚とランチした後に、「それじゃ、そのへんにあるお店でスイーツでも食べていてください! もしかすると20-30分で見てきますので」と、義理の親戚&家族に言いおいて、北斎館へ行ってきました。

小布施の北斎館

いやぁ……館内に一歩踏み入れて、「こりゃ20-30分じゃ終わらないな…」と直感しました。もうなんか、玄関のセンスからしていい感じです。

玄関の壁……オシャレ!

玄関を入ると、はじめの展示室まで長い廊下を歩いていきます。はじめに建物の奥まで進ませて、そこから作品を観ながらじわじわと入口(出口)へ戻ってくるという導線です。

そのはじめの展示室へ向かう廊下の窓は解放的で、外からの光が差し込んで明るく、狭くもないので気持ちがよいです。そして……

北斎の年代別(画号別)の歴史が記されているコーナーがありました。「北斎をよく知らないけど、近くまで来たから寄ってみました!」みたいな、いわゆる観光のついでにきた私のような人も、いきなり楽しめます。

展示室はざっくりと4〜5エリアに分かれています。

エリア1は、さらっと北斎が私たちが知る北斎になる前の、作品が並んでいます。

エリア2は、『神奈川沖浪裏』のような、「THE HOKUSAI」な浮世絵(版画)作品が出し惜しみなく壁に掛けられています。

『神奈川沖浪裏』
『神奈川沖浪裏』(部分)
『神奈川沖浪裏』(部分)
『冨嶽三十六景 東海道江尻田子の浦略図』
『冨嶽三十六景 東海道江尻田子の浦略図』(部分)
『冨嶽三十六景 東海道江尻田子の浦略図』(部分)
『富嶽三十六景 東海道程ヶ谷』
『富嶽三十六景 東海道程ヶ谷』(部分)
『富嶽三十六景 金谷ノ不二』
『富嶽三十六景 金谷ノ不二』(部分)
『富嶽三十六景 金谷ノ不二』(部分)
『富嶽三十六景 遠江山中』
『富嶽三十六景 遠江山中』(部分)
『江都両国橋夕涼花火の図』隅田川の花火です
上の作品の(部分)

そしてエリア3は、特集室のような感じでした。行った時には、本の挿絵が多かったです。

画本えほん東都遊あずまあそび 上 日本橋』

エリア4は、北斎が小布施に来はじめた頃の絵画………浮世絵などの印刷ではなく………肉筆画ですね。ここらへんは、ガチの“美術”になってしまうので……実は苦手です(笑)。なんか、堅苦しいというか、なんというか。

でも後から知ったのですが、信州小布施の「北斎館」は「画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館」と謳っているんですよね……。ということは、完全に私の好みとは異なるということです……。

柳下りゅうか傘持かさもち美人』(部分)
(部分)
これは北斎が最後に描いたと言われている『富士越龍ふじこしのりゅう(複製)』(部分)原本は、すみだ北斎美術館所蔵で、見てきたばかりでした

なんだかんだ言っても、肉筆画も楽しく見て回りました。

そして博物館の最後のエリア第四展示室は、北斎が天井絵を描いた、小布施の祭り屋台(山車だしみたいなもの)です。

これまで北斎の『神奈川沖浪裏』などのエリアで「わぁ! 北斎だぁ〜』とテンションが上がり、肉筆画のエリアで「ふぅ〜ん…北斎ってこんなのも書いてたんだぁ〜、うまいねぇ〜」と、気持ちが落ち着き……

そして、最後の山車の部屋で……ど〜〜〜〜〜ん!! ど〜〜〜〜〜ん!!

という感じでした。

「うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」

という感じでした。

と書いて……なんか行ったことのない人には、小説やアニメの最後を教えてしまうネタバラシのような感じになってしまうような気がしますね。まあ、これを読んで行く人もいないだろうから、書いちゃうんですけどね。

軽く感動しました。

何がと言えば、色鮮やかな祭りの山車が二台置いてあります。それぞれの天井には、北斎が描いたという絵が……。

北斎の画力というか気魄が身体にビシッビシッと伝わってきた気がします。トーハクでもすみだ北斎美術館でも、北斎の作品はたくさん観られますが、これは小布施の北斎館だから感じられる感覚なんだろうなと思いました。

最後にこれを見せられると、その場を離れがたくなりました。なんでしょうね……実際に屋台の天井に描かれた北斎の絵は、視力が良くないせいもあって、はっきりとは見られません。それでも、その天井絵から北斎の気魄というかオーラみたいなのを感じました。もちろん、多分に、照明効果の成果でもあるんですけどね(笑)

(いま、北斎館のホームページを見て知ったのですが、この祭り屋台の見どころは、北斎の天井絵だけではなかったです。ちゃんと見ればよかったなぁ)

でも、小布施での北斎は、ものすごく気分よく絵を描いていたんだろうと思います。また小布施の人たちも、北斎を大事にしていたことが伝わってきました。そういうのも感じられて、全体としてすごく良い博物館だなぁと感じました。

小布施堂 本店(?)

北斎が愛したのかはしりませんが、居心地良かっただろう小布施の街は、きれいで趣があり、これまた散歩するのに良い街です。街が小さいから週末は混んでいるようですけど、おいしいお店がたくさんあります。

私は行きませんでしたが、北斎館へ行っている間に、北斎のパトロンだった高井鴻山の子孫が運営する(という言い方が正確なのかは分かりませんが、関連していることは確かな)小布施堂で、息子などはスイーツを満喫していたようです。自分が頼んだかき氷はもちろん、義叔母などが頼んだ和菓子も、「なにこれ、はじめて! おいしい!」といって、むさぼるように食べていたそうです(持ち帰りの和菓子まで買っていました)。

桝一市村酒造場(?)
この、北斎のパトロンの1人だったという、小布施堂の先祖の旧別宅を博物館に改装したようなところにも行ってきました(館内撮影禁止)

小布施へは、また行きたいと思います。できれば、街中を散歩したいところですが……なかなか家族などと行くと……。まずは、北斎が描いた天井絵が残る、岩松院へは行きたいですね。

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