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エッセイ 冬のカゲロウ

春の陽気のように暖かい日

カーテンを開けて光を入れれば
暖房もいらないくらい

少しずつ春が近づくのを感じる

夜になり
買い物にいこうと車に乗ると

運転席の横の窓ガラスに
カゲロウがとまっていた

真っ白な体に透明な羽

僕が車を走らせると
必死に窓ガラスにしがみつく

きっとこの陽気に騙されて
羽化してしまったのだろう

夜の寒さに驚いてるに違いない

僅かな命を寒い中で過ごすとは
不憫に思えて仕方ない

でもカゲロウには
どうすることもできやしない

ただ必死にしがみついて
精いっぱい生きるだけだ

食べることも
眠ることもせずに

生きてる限りを
恋を実らすことだけに費やす

このカゲロウに
実る恋はあるのだろうか

なんとなく
自分と重ね合わせたときに

カゲロウは窓ガラスから
いなくなっていた

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