見出し画像

ショートショート 陽ざしと青空

僕は家で、机に向かってたんだ。
ただ机に向かい、座ってたんだ。

今日は朝から雨が降っていて、
とても寒いから、
家にいることにしてたんだ。

でも何もすることがないから、
机に向かってたんだ。

お昼過ぎまで机に向かっていたら、
何かに呼ばれた気がしたんだ。

気がついたら、僕は靴を履いて、
外に出てたんだ。

いつの間にか晴れていて、
青い空が雲の間から、
少し、覗いてたんだ。

僕は嬉しくなってしまい、
少し散歩してみることにしたんだ。

僕が歩くと、

陽ざしが眩しく照り出して、
僕といっしょに歩いてくれたんだ。

そしたら今度は青空も、

「いっしょに歩かせてくれませんか。」

と聞いてきたから、
僕はそしらぬ顔で、

「ああ、いいですよ。」

と答えたんだ。

そして僕は陽ざしと青空に見えないように、
クスクス笑ったんだ。

僕が歩くところを、
陽ざしが追いかけて、
青空もどんどん広がっていったんだ。

しばらく歩いて僕は疲れたので、
ベンチに腰掛けると、
僕の真上で青空が広がって、

「いっしょに休んでいいでしょうか。」

と聞いてきたんだ。
僕は、

「もちろん、いいですよ。」

と答えたんだ。

陽ざしの方を見ると、
僕の目の前にいつの間にか
立っていて、

眩しい光を抑えて、
やわらかで温かな光で

僕を包みながら
こういうんだ。

「大丈夫。わたしがいつも
あなたを見ていますよ。

寒くなったら、いつでも
温めてあげますよ。

闇に閉ざされそうになったら
いつでもわたしが照らしてあげますよ。

あなたは
ひとりではありませんよ。

青空もいるし、わたしもいる。
あなたの周りには、
もっと、
あなたを支える人たちがいますよ。

大丈夫です。
わたしがいつでも、
照らしてあげますよ。」

そして空を見上げたら、
青空も笑っていたんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?