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ショートショート 体育祭(後編)

*はじめに
このショートショートはフィクションです。
前編の続きです。ライバル側の視点で書きました。
負けた側の方が気になりませんか?

僕は全寮制の学校に行っている。
今は2年だ。

僕の同じクラスの奴で、いつも
一人きりの奴がいた。

いつも陰気な顔をして、
机で寝てばかりいる。

自分からはあまり話しをしないけど、
発言の機会があれば、ハキハキと
自分の意見をいう。

どうやら周りとかかわりたくないらしい。

僕はそいつが気になって、
何かとちょっかいを出すようになった。

すると、
最初は相手にされなかったけれど、
だんだん疎ましく感じたらしく、
僕を睨んでくるようになった。

僕は体力には自信があったし、
拳法も習っていたので、
いくら睨まれても怖くない。

平気な顔をしていると、
だんだん口論になってきた。

僕には好きな女の子がいた。
このクラスの委員長をしている。

僕と奴が口論になると、
いつも委員長が仲裁に入ってくる。

なんとなくだけど、
委員長は奴が好きらしい。

あんな奴のどこがいいのかと
あきれながらも、
僕はそれが許せなかった。

やがて、体育祭が近づいた時に、
僕と奴は我慢の限界になり、
ケンカになりそうな雰囲気が漂っていた。

クラスの皆も気づいていた。

そんな時に、
委員長から驚く提案があった。

体育祭のリレーで僕と奴が対決して、
勝った方と委員長がデートをするという。

僕は飛び上がるようにうれしかった。

走ることには自信があるし、
奴には負けたことがない。

奴は委員長に文句をいっていたが、
委員長に口では敵わない。

しぶしぶ提案を受け入れた。

そして、体育祭当日。

僕は奴との対決に負けてしまい、
委員長を奴に取られてしまった。

がっくりした僕。

しばらく、
学校を休んでしまったくらいだ。

すると、
奴が僕を心配したのか、
ちょくちょく、
僕のところに見舞いに来て、
話しかける。

あとでわかったことだが、
どうやら委員長にいわれて
いたらしい。

すっかり尻に敷かれている。

そんな奴を羨みながらも、
話しをしてみると、
それほど悪い奴でもなく、

どちらかというと、
真面目な奴だとわかった。

真面目過ぎるくらいだ。

僕たちは親友になり、
委員長は彼に譲ることにした。

僕はいつも彼と委員長のそばにいて、
委員長が彼を飽きたら、
僕が告白するんだ。

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