詩1 6.僕の目の前から去った彼女
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「私とリー」は、4章構成、全25詩からなり
ます。本詩は第1章の第6詩にあたります。
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僕の目の前から、彼女が去った。
あれからどれくらいの時間がたったのか。
僕は抜け殻のようにその時間を過ごしてきた。
彼女は、もう、僕と会おうとしない。
こんなにも離れてしまった僕たちの距離。
僕の何が悪いのか、何がいけないのか、
彼女は何もいわない。
「さよなら」と一言だけ残して、
去ってしまった。
僕はその言葉を混乱した頭で聞いて、
気が付いた時には彼女はいなかった。
僕は彼女を追いかければよかったのか。
でも、そうしなかった。
僕は彼女を追い詰めてしまったのか。
でも、気が付かなかった。
壊れてしまったものを元通りには、
決してできない。
壊してしまったのは僕。
毎日、僕は彼女との思い出を思い返す。
何回も、何十回も、何百回も思い返す。
そして、最初の頃の彼女の表情と、
去っていく頃の表情の違いに、気づく。
あんなに楽しそうだった彼女の表情が、
最後はとても悲しそうだった。
それは、ある日突然そうなったのではなく、
少しずつ、少しずつ、
彼女の表情から楽しさを削ってしまった。
削ったのは僕。
自分の愚かさを呪い、
誰とも会わない日が何日も続く。
この苦しみは、この痛みは、この空しさは、
いつまで続くのか。
泣き、謝り、叫び、何もする気がせず、
やせ細る。
このまま消えてしまえば、どれほど楽かと、
何度も何度も考える。
僕が、壊れてゆく。
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