見出し画像

詩 ナナホシテントウ

ここのところ、寒い日ばかり。

散歩に行こうと思いつき、
川沿いの小道を歩く。

あたりを眺める。

真っ青な青い空、枯れた木の枝、
ススキのホ。

視線を落とす。

そこには、小さな、
ナナホシテントウ。
赤い体に、ななつの黒い星。

どこから来たか。

小さな羽を、ばたつかせ、
落ち着かない。

僕が見ているのが、気になるか。
僕が見ているのが、気にさわったか。

羽ばたきを、繰り返す。
そして、飛び立つ。

ゆらゆらと、頼りなく。
ゆらゆらと、落ちそうに。

見えなくなるまで、
飛んでゆく。

僕はベンチで休む。

何かが、ゆらゆら飛んでくる。

見ると、さっきの、
ナナホシテントウ。

さっきの辺りに着地して、
のたのた、ふたたび歩き出す。

僕のことなど、気にしない。
僕のことなど、見ていない。

真冬なのに、生きている。
生きかたを、知っている。

こんなに小さいのに、たくましい。
こんなに小さいのに、頼らない。

かんじがらめで、不自由な僕を、
自由なナナホシテントウがわらってる。

そんなことを思いながら、

僕も、ふたたび、歩き出す。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?