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初心者こそ難しい「メンター」選び

こんにちわ、HAKUです。

今日はレザークラフトの上達のためには恐らく「必須」と言っても良い「メンター」の選び方について書いてみたいと思います。

「メンター」とは「助言者」「相談者」という意味の言葉。会社などで教育担当の先輩社員のことを「メンター」と呼んだり、そういったマンツーマンのOJTを「メンター制度」なんて言ったりしますよね。

ここではレザークラフトを楽しむ上で
「自分の目標・お手本になり上達へと導いてくれる人」
・「技術や関連する事柄について有益な情報をもたらしてくれる人」
という意味で使わせていただきます。

一番分かりやすい「メンター」は「レザークラフト教室の先生・講師」という事になりますが、ここでは独学を前提に、参考にしているSNS等など、いわゆる「情報ソース」といった意味で考えていきます。

初心者の方ほど要注意

これは私の独断と偏見(まぁいつものことだ)ですが、初心者の方ほど「メンター」選びは難しく、特に慎重になるべきだと思います。

なぜか?色々と理由はありますが、最も大きな理由は初心者向けの解説・情報発信は、初心者でもできてしまうからです。

「そんなバカな!?」と思いました?でも実際に結構ある事だと思います。

例えば、以前もちらっと書いたことがありますが、アフィリエイトを目的としたブログ。「レザークラフト初心者が最初に揃えておくべき道具」みたいなタイトルで、アマゾンのアフィリエイトリンクをペタペタ貼りまくっていました。

それっぽく「この道具はこういうモノです」とか、説明をつけていたりしますが、いずれも入門書をサラッと読むか、ちょいとGoogle先生に尋ねれば簡単に分かることばかり。

実際にブログの著者自身がその道具を利用している写真はおろか、それらの道具を使ってどんなモノを作っているのかさえ掲載されていなかったりします。こういう類のものは経験・実体験に裏付けられたノウハウ紹介ではない可能性が高いですね。

これは極端な例ですが、実際、初心者向けの情報発信や解説というのは大した経験値がなくても、それらしく繕うことが簡単にできてしまうものです。

ホラ、こんなアマチュアの私でさえも、こうしてnoteで初心者向けに記事をエラそうに書いたりしちゃっていますよね?(自爆)

ちょっと意地の悪い見方をしてみましょう。(得意分野!)

レザークラフトをやっている人の中で、最も人数が多いのはどういう人でしょう?…そう、始めたばかりの「初心者」です。言い方を変えれば初心者向けの情報発信は、対象(ターゲット)となる人数(パイ)が最も大きいということ。

そして相手は経験の浅い初心者なので自身が高度な技術・知識を身につける必要もありません。経験値が浅くてもできるという意味ではコンテンツ製作も楽チンな訳です。

どうです?対象母数が多くて手間がかからない「初心者向け情報」というのは、手っ取り早くブログのPV(ページビュー)を稼ぎたい、動画の再生数を稼ぎたいという場合にうってつけだと思いませんか?

少し余談になりますが、私のYouTubeチャンネルの中で最も再生数が多い動画がこちらです。

note読者の方にだけにこっそり暴露すると、実はこの動画は私の中で一番思い入れのナイ動画です。だって、作っていて超〰つまらなかったんだもん…。

「こんなパスケース作っても実際に使わないだろうし、気乗りしねぇなぁ。でも”初心者向けに型紙設計から実際の製作までをシリーズで紹介します”って言っちゃったしなぁ。あーあ、面倒だけどやるかぁ…( ´Д`)=3」

そんな半ばナゲヤリに製作&UPした動画が一番再生されるなんて「なんだかなぁ」という感じですが…(どちらかと言えばCAD活用の方が目玉だったのに…)。「初心者向けって再生数稼げるんだなぁ」なんて思ったものです。

今はとても情報が豊富なので「ネットの情報だけでレザークラフトをやっている」という初心者の方も多いことでしょう。便利ですし、良心的なコンテンツも確かにあります。

ですが、中にはアマチュアの私から見ても「え、それはちょっとマズいんじゃないかな…」と驚いてしまうような説明や、本質を外した的外れな”解説”なども結構混じっていたりします。

「ネットで簡単に情報収集ができて便利だワ!」「わざわざ入門書を買わなくても良いからおトクね!」なーんて思っていると、知らないうちに経験的な裏付けのないトンデモ理論や誤った知識を植え付けられてしまう事もあるかもしれません。

一見すると親切で分かりやすいと思われる情報には飛びつきたくなるモノ。ですが「ホントにそうなの?」と批判的な視点を持って精査し、信頼できるソースなのか?自分のメンターとなり得るのか?を見極めることが大事だと思います。

本を読む時も、よく「クリティカル・リーディング(作者の主張を鵜呑みにせずに批判的に読むこと)が大事だ」なんて言われますよね。ネット情報も然り。たくさんの情報に簡単にアクセスできる今だからこそ尚更、必要なスキルかもしれません。

もちろん、私HAKUのYouTube動画やnote記事も例外ではありませんぞ…どうぞお手柔らかに(汗)。

そうは言っても、まだレザークラフトを始めたばかりで経験の浅い初心者の方は情報の見極めが難しいかもしれません。なので、次からは私の経験(独断と偏見)から、「こういうケースはメンターとして要注意じゃないかな?」という場合についてご紹介してみたいと思います。

こんなケースは要注意① 自信満々に断定

メンターとして怪しむべきケースの1つ目は、ズバリ「断定する」ケースです。

「これはこうすればOKです」「これはこういうモノです」っと自信満々に断言してもらうと、初心者の方は「分かりやすい」「信頼できる」と思ってしまうかもしれませんね。ですが、こういった安易に物事を断定するような解説は、却って怪しさ満点!っと私は思っています。

なぜかと言えば、あなたのことを全く知らない人が、あなたが今置かれてる状況下で、あなたにとって何がベストかを断言できるハズがないからです。

例えば、私も勉強させていただいているLeather works ittenさんは、動画の冒頭に次のようにエクスキューズを入れています。

あくまでも一つの方法、手段を紹介するもので、”何が正しいか”の定義付けをするものではありません。

10年以上レザークラフト教室を運営し、延べ500人以上の方を指導してきた経験を持つittenさん。恐らく、考え方や価値観、好み、目指す作風、使う革の種類や質、使っている道具や作業環境、各人の得手不得手…いろいろな要因によって”一概に言い切れないこと”、”様々なやり方や考え方があること”を熟知しているのだと思います。

だからこそ解説動画の中でも安易な断定は避けて、「私の考えでは~」「うちの教室では~」「~という場合もあります」と、言い回しにも気を使われているのでしょう。とても誠実な人柄が表れている解説ですね。

ですが、初心者の方はittenさんのような解説よりも、「これがオススメです」「この道具を使ってください」「○○mm厚の革がいいです」といった具合に断定・断言してくれた方が「分かりやすい」と評しがち。

気持ちは分からなくもないですが、ちょっと厳しい言い方をすると、それは決して「分かりやすい」のではなく、単に「楽」なだけ。何も考えず言われたとおりにやれば良いだけですからね。

楽だからといって情報の良し悪しも、自分に合う合わないも精査せず鵜呑みにしてしまうと、もっと自分にマッチした情報や解決策を見過ごしたり、本質的なことを見誤ってしまう危険性もあります。

それこそ、先日の接着剤に関する記事のように「初心者はG-17ボンドを使いましょう」を盲信してしまったら、「うまく塗れないー」「あー、ボンド層がぁ~」と悩むハメになっちゃいますね。

自信満々に断言してくれるのは、とても頼もしく親切なように思えますが、実は乱暴で不誠実とも言えます。外ではやさしい旦那さんだけど実はDV夫みたいな感じ?…違うか。

逆に、明確な断言をしない代わりに、考えるヒントや複数の選択肢を与えてくれるような情報の方が、実践的で誠実と言えるんじゃないかな、と思います。

こんなケースは要注意② ホントにやってる?

もう一つ怪しさ満点のケースとしては、普段から実践していないことを解説している場合です。「えー、そんな事ってあるの?」と思われるかもしれませんが、私は結構あるもんだなぁと感じています。

先述したとおり、初心者の方に向けた解説というのは大した経験値がなくてもできてしまいます。教則本もありますし、既にたくさんの先人の方々が自身の経験やノウハウを共有してくださっていますから、聞きかじりの理論や理屈をつなぎ合わせて自身の経験っぽく振る舞うことは、意外と簡単なものです。

つまり、自分自身が探求していないこと、習熟していないことでも、その気になれば付け焼き刃で「解説用」に繕うことができてしまうということ。

ソレらしく解説していても、実際にその技法・技術を自分の作品作りに活かしていない場合などは取って付けた解説モドキである可能性が高いと思います。

普段自分がやっていること、実体験を重ねたことを発信するのと、情報発信する目的ありきのハリボテ解説では情報の質(信憑性・説得力)が格段に違います。これは想像に難くないでしょう。

ここでも再び意地悪な見方をしてみます。(本領発揮!)

例えば、普段革の染色を一切しない私が「革の染色方法」を解説する動画を作るとしましょう。きっと入門書やネット上にある先人の知恵を借りて、手順や、コツ、作業する上での注意点をインプットします。

あとはソレをあたかも自身の経験であるかのように振る舞い、解説のテイで発信をするだけ。へい、一丁上がり!簡単ですね。

もちろん、その場合は内容に深みも独自性もありません。大した実演もできないでしょう。そもそも経験値がない付け焼き刃のハリボテですから当然です。

でも「初心者向け」であれば、これでも十分に成立してしまいます。だって相手は自分以上に何も知らない初心者の方ですから。

仮に経験豊富な方から「そうじゃないだろ!」とツッコまれたところで無問題。痛くも痒くもありません。

「仰るとおりです。でも今回はあくまでも「初心者向け」なので、敢えて難しい部分は省略したんですョ。エヘッ」

と自身のプライドを守りつつ、言い訳するのも簡単です。

そう考えるとちょっとオイシイ…もとい。恐ろしいですよね。初心者でも初心者向けの解説ができてしまうというのは、こういう事です。

自身が精通していないことを”解説する”なんて、「後ろめたさ」や「羞恥心」がジャマをしてとてもできないなぁと個人的には思うのですが、アフィリエイトやYouTubeなど収益が絡んでくると、意外とそういったことができちゃう人もいるものです。

自身である程度経験を積むと「ん?薄っぺらい解説だなぁ。実はあまりやったことないだろ?」と怪しむことも容易ですが、それらしく体裁が整っているほど初心者の方にとっては見極めが難しいかもしれません。

ただ、解説はできても実践できているかどうかは別。解説されている内容が「その人が普段の製作で本当に実践していることなのか?」という視点で注意深く見てみると意外と簡単に分かる部分だと思います。

・包丁を使っていないのに研ぎ方を解説する
・手漉きなんてほとんどしないのに漉き方を解説する
・コバの顔料仕上げをしていないのにコバ塗りの方法を解説する
…冷静に考えれば怪しさ満点でしょ?

情報選びが難しい時代だね

私がレザークラフトを始めた当初は、色々なクリエイターさんのブログ記事をとても参考にさせていただきました。本当にありがたかった~。

思い返してみると、それらはPV数やアフィリエイト等の収益を狙ったものではなく、もっと純粋に「製作日記」的なものであったり、同じ趣味を持つ仲間同士の「情報交換の場」といった感じだったと思います。

今は情報発信がお金になる時代。特に初心者向けというのは、ある意味「オイシイ市場」ですから情報の種類も質も本当に多様化していますね。それだけに、初心者の方には大変かもしれません。

情報の総量が増えることは喜ばしいことなのかもしれませんが、その分注意が必要になるということですね。イイんだか悪いんだか分かりませんが、いずれにしても主体的に情報を選び、見極める姿勢が求められるって事なのかもしれませんね。

この記事を読み返すと、私が疑り深くてヘソマガリな感じがムンムン出ちゃっていますが…そのくらいが丁度いいのかも。

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