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初めて親にねだった最初で最後の本

その記憶は今でも鮮明に覚えている。
タイトルは「6時間後に君は死ぬ」。

新聞広告に載っていた本だった。
後にも先にも、新聞の広告で興味を持って購入した本、というのはこの一冊のみだ。

強烈に惹かれたタイトル。書影も魅力的だった。
親は書店でわざわざ取り寄せて購入してくれた、と思う。
なにせ田舎だったもので、ハリーポッターくらいのビックタイトルでも10冊ほど平積みされているだけだった書店だからだ。
きっとあの時、この本を購入したのはあの店では私だけだったのではないだろうか。


6時間後の死を予言された美緒。他人の未来が見えるという青年・圭史の言葉は真実なのか。美緒は半信半疑のまま、殺人者を探し出そうとするが――刻一刻と迫る運命の瞬間。血も凍るサスペンスから心温まるファンタジーまで、稀代(きたい)のストーリーテラーが卓抜したアイディアで描き出す、珠玉の連作ミステリー。

あらすじは上記。
本自体はもちろん面白かった。
読んだのが10年以上前なので細部までは覚えていないが、ミステリー小説が面白い、と思えたのはこの本がきっかけだ。
それ以降、ミステリー小説も読むようになったのを覚えている。

何よりも覚えていることがある。
この本は短編がいくつかあるのだが、その最初のタイトルは表題にもなっている「6時間後に君は死ぬ」。
そして最後の短編のタイトルが、「6時間後に僕は死ぬ」。

ページをめくった時の衝撃は今でも忘れられない。
主人公が死ぬ。
可能性が低いことは重々承知しているが、主人公が死ぬ可能性を示唆されたのだ。
当時中学生だった私は、それはもう当時生きていた中で1番の衝撃だった。

読み終わった後、興奮冷め切らぬうちに母親に力説したことを思い出した。
彼女はあまり物語を読まない人なので、娘の興奮ぶりに引いていたに違いない。

こんなにも印象深く残っている本は、これ1冊っきり。
出会い方ももちろん、最初に読んだミステリー小説である、ということも大きいだろう。

最近はゆっくりと小説を読むことができていない。
購入したKindleで読むのはビジネス書やHowto本が多い。

今日はせっかく図書館の静かな空間でこの記事を書いているのだから、帰りに何冊かかりて帰ろうと思う。
ああ、息子の絵本も借りていくのも良いかもしれない。
家にあるのは読み尽くしていて、彼にも新しい刺激が必要だろうから。


つむら。

いただいたサポートはクリエイター活動費として当てさせていただきます。大きな金額になったらネタ提供元(息子)へ還元予定(おもちゃ)です。