対話のない世界で、相手の心に寄り添う姿勢を見せるということ~大人にこそオススメしたい推し活
3月7日に推しのOWVの5番目のシングルがデジタルリリースされました。早速聞いてみて、感じたことを今日は書いてみようと思います。
何かというと、なんでこの選曲、この順番になった?という点が箱推しちゃん的にかなり面白いなと。
確か本人たちも言っていたと思うのですが、一番OWVらしい、疾走感と強さ、鋭さを表しているのは、実は表題曲ではなく、2曲目のSound The Alarmなんです。そのため、ファンの中でも「Sound The Alarmが表題曲でもおかしくなかった」と言われていますし、わたし自身もこっちじゃないんだ!と驚きました。
一方、表題曲のYouは上述の通り、表題曲としては初めてのミドルバラードです。こちらの記事でも書きましたが、春というにはまだ肌寒い季節に、始まりの予感に期待と不安を抱くわたしたちの心にそっと寄り添う優しい一曲です。
MVもこれまでのOWVには見られなかったような幻想的な作品となっています。
このMVを見てからOWVを調べたら、普段のキレキレぶりにびっくりすると思うんですよね。
これ、なんでこうしたんだろう?
一つにはアーティストの多彩な才能を見せたいという戦略があると思います。
でもそれ以上に感じたのが、2022年の春のわたしたちの心に寄り添おうとした選曲だったんじゃないかということ。
というのも、OWVは前科()がありまして。彼らは昨夏、全国に緊急事態宣言が出ていた時期に、Get Awayという曲を出しています。
これも普段のOWVらしくない、かなりポップな一曲なんですよね。
こちらは歌詞をご覧いただければわかる通り、感染の不安や日常生活に制限がかかったことで思うようにいかなかった、去年の夏のわたしたちの心に寄り添う内容になっています。
つまり、OWVはシングルリリースという勝負すべき場面で、一番得意な分野ではなく、リスナーの心情に寄り添う選曲をすることがあるということなんです。
わたし、OWVの一番の魅力はこれなんじゃないかと思って。
シングルなんて勝負どころなので、自分たちの強みを一番引き出せるような楽曲や世界の最新音楽トレンドを踏まえた楽曲を出してもいいと思うんですよね。でも彼らはそうしない。2022年の、この世界に生きるわたしたちの心に寄り添う1曲を選んで、そっと出してくる。
それは、これまで音楽業界でよく見られていた「いいから、これを聞け!」というようなプロダクトアウト型の作品リリースの仕方とは真逆だと思うんです。
箱推しちゃんはこれまで、インターネットやSNSの登場によって、メーカと消費者の立場が対等になったように、アーティストとリスナーの立場も上下関係がなくなったんじゃないかとつらつら考えてきました。
(色々論考があると思うんですが長くなるんで、一言でまとめると「世界中の人が見られる場所に書かれた言説を無視できなくなったからじゃないか」と思ってます)
でも、楽曲選定に関しては、基本的にはその時そのアーティストが思う、一番カッコいい曲で、リスナーはそれをありがたがって聞く、という姿勢はこれまでと変わっていないように思います。
ここはアーティストのアイデンティティにも関わるところだし、そういうもんなんだろうなとも思ってきました。
一方、OWVは運営も含めてめっちゃSNSすることで有名なグループです。明言されたことはないけど、多分エゴサもめちゃくちゃしているし、自分たちのファンがどういう人たちなのかもリサーチしていると思う。
それらがインプットとなって、今自分たちは何を届けるべきなのかという観点から楽曲選定をしているのではないかと。
つまりマーケットインの発想で楽曲を選んでいる。
誤解しないでほしいのですが、選定した曲は、トレンドもきっちりおさえていますし、彼らの魅力もふんだんに表現されていると思っています。そこにさらにマーケットの感情も織り込んでいるのではないか、ということ。
これはとても新しいスタイルなんじゃないかと思っています。
さらに言うと、アイデンティティを見せつけることも忘れておらず、だからこそ、彼ららしさが凝縮されたSound The Alarmが2曲目に配置されているんだと思います。
そしてその対極に振れる2曲のバランスを取るように配置されているのが3曲目のTalk Talk Talk。
明るいアメリカンポップの曲調で、「自分から話しかけることの大切さ」「言葉で伝えることの大切さ」を伝える楽曲です。
もうね、箱推しちゃん脱帽ですよ。
マジで大人にこそ、今回のシングルは聞いてほしい。
わたしたち大人は、普段からわからん人たちに囲まれて、これ意味あんのかなと思うような仕事だとか行事だとかに振り回されることも多いじゃないですか。で、意味あるんですかとか聞こうもんなら「慣例だから」とか「仕方がない」とか抜かしやがるんですよ。
じゃあって言ってその人たちぶっ飛ばしてやりたいようにやることもできなかったりするじゃないですか。
あと、大人だって何かにチャレンジするのは普通に怖い。
そういう気持ちにがっつり寄り添ったうえで、自分たちのアイデンティティも見せつつ、ちゃんと一歩踏み出した後の心もフォローするような楽曲で締めてくる。
なんか、Team OWVすげえな…
大人として色々学びも得ましたし、改めて最高のシングルだなって思いました。
ということで、3月7日デジタルリリースされたOWVのYou、ぜひ聞いてください。
おまけ:
3曲を最初に聞いた時の箱推しちゃんの感想
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