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書籍レビュー『インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド』

『ターゲット企業を営業に渡すのがインサイドセールスの仕事、ターゲット企業であれば温度感が低くても商談を前に進めるのが営業の仕事』

インサイドセールス、と聞くと若い営業担当が一人前になる前のトレーニングとして体験するテレアポ営業のように考える人もまだ多いだろう。
ビジネスにおける新規顧客獲得の手法は、TVや新聞などのマスマーケティングから、インターネットを中心としたデジタルマーケティングへ変化し、その中でも最近ではデジタル広告の出稿より、コンテンツマーケティングが重視されるようになってきた。
コンテンツマーケティングでリードを獲得しても、それを商談につなげることができなければ意味がない。
そこで重要になるのがインサイドセールスである。

そういった意味ではインサイドセールスは単なる内勤営業ではなく、営業半分・マーケティング半分というような職務領域であると考える方がイメージに近い。マーケティング部門の作成したコンテンツを利用し、時には自らコンテンツを作り出して、リードに対してアプローチをしつつ温度感を高めて営業にパスしていく役割である。

本書はこうしたインサイドセールスの立ち上げから実践ノウハウまでを体系的にまとめられている。
私はすでにインサイドセールスを立ち上げており、本書でいうところの「設計者」の立場であるが、そうした人には6章の「成果を出すインサイドセールスのテクニック」が役に立つことであろう。

本書では、商談化基準や失注基準についてかなりのページを割いて書かれているが、これはインサイドセールスを立ち上げたことのある人なら重要性が理解できるところである。インサイドセールスはマーケティングと営業の中間に位置し、両部門とリード・商談という接点を持つため、ここを適切にコミュニケーションして合意しておかないと、成果が正しく計れないばかりかセクショナリズムが発生して「マーケが悪い」「営業が悪い」等の生産性の低いコミュニケーションが増えてしまう。しかし、この合意はお互いの目標達成の難易度にダイレクトに影響するため、同職位のマネージャー同士で調整してもかなり合意が難しい。筆者がインサイドセールスの立ち上げ時に関わる設計者には「他部門との合意形成経験」が必須と言っているはこのためである。

私自身、経験から「インサイドセールスはオペレーションフローとリストが生命線」と常々思っている。
営業は一部のスーパースターで成果を出す組織も多いと思うが、インサイドセールスはよりチームで成果を出する領域が大きい。
これからインサイドセールスに関わる方には、組織で成果を出すために本書の考え方は良いヒントとなるであろう。

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