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2022年34歳の夏、テレビドラマ「すいか」。

はじめての一冊にオススメな作品を選書し、
私の中をとおった作品を私のことばでご紹介するコラムです。
気になる作家さんの何から読んだらいいのか迷う方のご参考になれれば幸いです。
出会う一冊めを大切にしたい派の古本屋をよろしくお願いいたします。

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「すいか2」 作:木皿泉+山田あかね 河出文庫

最初に「すいか」に出会ったのは、社会人2年目ぐらいの頃。
リアルで放送されたのはもっと前で、遅咲きの「木皿泉」のはじまりでもありました。

あれから12年くらいが経ち、私も34歳。
そういえば、ハピネス三茶に住みはじめた時の基子と同じ歳になったのだなー。
そうだ!もう一回「すいか」を観てみよう!と思い立ち、2022年の夏は、すいか一色。

見始める中で、基子と共有できる部分があるのでは?と探っていたのですが
なかなかできず、思い浮かぶのは昔の自分の記憶ばかりでした。

初めて観た時のわたしの方が基子に通ずるものがあったのです。
はじめて、家をでて一人で暮らして
怒られながらも仕事を頑張ったり
美味しいものを食べたり
上司と同僚とお酒をのんだり
今まで行ったことのない場所に自分のチカラで行ったり…

新鮮で瑞々しい記憶がフラッシュバックします。
みなさまにも、こんな経験の記憶があったりしますか?

「すいか」は、ちょっと新しい自分に進むための栄養をもらえる作品です。
新しい自分に変わるのは、とても苦労します。
そして、今までの自分を否定することにもなると思うんです。
でも、そうではなく、過去の嫌な自分も抱えて、未来に進む。
嫌な自分も好きな自分もいていい、なりたい自分になっていい。
そう言ってもらえる気がして、自分の中の呪いが少しほどけてゆく。

教授のことばに勇気をもらって、こんな自分でも自分らしくいていいのだ!と肯定感に包まれる。
ゆかちゃんの美味しそうなご飯にうっとりして、真似して作ってみようと料理に挑戦してみたり、
絆ちゃんの復活と成長に人間の強さをみて、辛いことへの向き合い方は、自分のペースでいいのだと知る。
ばばちゃんに代わり映えのないような日々の有難さを教えてもらう。

夕暮れ時が切なくて、誰かに会いたくなる。
夕ご飯のにおいで食卓にみんなが集まり、少しホッとする。
美味しいご飯を食べながら、今日の出来事やくだらないことをおしゃべりして笑って、
体温がゆっくりと上がって血液がめぐり、お腹と心が満たされる。
時には、泥舟で一杯。
さて、明日も生活のために稼ぎますかね。
ひとつまみの希望をもって眠りにつく。

2003年のあの夏も2022年のこの夏も、きっと懐かしく愛おしくなる日がきます。

木皿泉の作品は、枕草子のような、透明な日々の中で、見逃しがちなキラキラ光る幸せを気づかせてくれます。
その「キラキラ光る幸せ」は、物語のあちらこちらの言葉に散りばめられているのです。
だから、何度も何度も何度もみて、聞いて、その言葉を探します。
見る人によって言葉のチョイスは、変わってもきます。
時には、それぞれ集めた言葉を見せ合いっこして、お互いのしあわせのカタチを確認しあったり。
自分のしあわせのカタチがどんなものか見えてくる。

あなたのしあわせは、どんなカタチをしているのでしょう??
気が向いたら、そっと教えてくださいね。

「すいか2」おすすめポイント
・木皿さんは脚本家なので、本はシナリオブックになっており、ドラマを流しながら文字を追うと一層言葉を噛み締めることができます。
ちなみに私は、役者さんって本当にすごいなって感動しました。笑

・「すいか2」には、テレビドラマの最後から10年後のお話があります!
みんなの10年後!すごいことになってました。。。感動。



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