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青じそドレッシングの夏

お昼の12時に隣の建屋にある社員食堂を目指していく。少し並んでトレーを取り、まずは白米か麦飯を選ぶルートか、麺類やカレーに向かうルートか。週のはじめのカレーはまだ煮詰まっていなくて物足りないので、60円の麦飯を主食に何品かおかずを選ぶことにしよう。

特に理由といえる理由もないのだが、いつもなんとなく麦飯を選んでいた。主菜に小鉢やサラダまで付けて食べていると、「いつもおかず一品多いよね」なんて言われるので周りを見回してみる。たしかにけっこうみんなシンプルにざるそばやカレーだけだったりする。恋人との結婚を考えていたり、ジャニーズの追っかけだったり、単に気分だったり、なんかいろいろあるらしい。

毎週末に100キロ運転して会いに行く恋人がいても結婚願望はなく、のめりこめるような趣味もなく、なんだかんだ食いしんぼうな私にはおかずを一品減らす理由は特になく、今日もまたどうでもいい過去をほじくり返しながら蒸し鶏のサラダを選んで、青じそドレッシングに夏を感じるのだった。

思えば、私にとって恋愛と結婚は直結するものでなかった気がする。恋愛は恋愛として楽しんで、その先に結婚を意識することができないでいた。恋愛を経ずに婚姻届を出してしまうような交際0日婚とか、むしろそのくらいのノリの方がありえるかもしれないと思うくらいに。

週末に煮詰まったカレーライスを食べるために、カレーうどんは水曜日くらいがちょうどいい。ゆでうどんに出汁、その上からカレーをかけて出され、自分でネギを乗せて混ぜて食べれば、それはもう立派なカレーうどんなのだ。190円。それでいいのだ。

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