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ガラガラじゃないヘビがやってきた

いったいどこから入りこんだのか、幸運の兆しだという。(本当に?)

アオダイショウは青いものだと勝手に思いこんでいたが、あまり可愛げのない色をしているのだな。うちには餌になりそうな生き物はいないはずだけど、連日の猛暑つづきで変温動物の彼らも外にいるのが辛くなっているのかもしれない。

下水道が整備される前は洗濯機の水をそのまま排水溝に流したりしていたので、湿り気を帯びたその周辺にはサワガニが集い、壁づたいに家の廊下を横歩きする姿を見かけることもふつうにあった。サワガニが比較的好意をもって受け止められるのは、おそらくあのニコッと口角を上げて微笑んでいるかのような甲羅の模様のせいだと思うが、しかしヘビときたらどうだろう。まあ、幸運をもたらしてくれるかもしれないので、あまり悪くは言わないでおこう。

その昔、大ヒットした「ガラガラヘビがやってくる」という歌がある。なぜこんなふざけた歌が、と思ったものだが、歌詞を読んでメロディを口ずさみ、なるほど天才的かもしれないと感じられるほどには私も大人になったようだ。

〽 あの娘は可愛いヘビイチゴ 甘くて酸っぱいぞ

舗装されたあぜ道を歩いて小学校に通う、地上1メートルの視点で捉える夏の景色、そのなかの、ちいさな赤い実。田んぼ道の終点にはヘビイチゴが、毎年、よく見るとなかなか毒々しい実をつけていた。食べられるのだと教えてくれたのは上級生だったのだろう。甘くもなく、苦くもなく、瑞々しくもなく、とくに喜びを与えてくれるわけではないその果実を帰り道にときどき口にしていたことを、何十年か後に思い出す。それは愛の味に似ている、などと乾いた台詞をつぶやきながら。

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