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詩「ヒツジの話」

迷子の夢見るヒツジにお願い事をしてみた
セーターを編んで着せてあげるから
そのふかふかの毛を刈らせてくれないかな?
ウールのセーターは暖かいらしいから、ね?

二つ返事でヒツジは快諾してくれて
だからお礼にセーターが編みながら
一緒においしいジンギスカンを食べたんだ
って言うのは嘘だけれども

けど、編み物は初挑戦だったし
結局セーターは編めもしなくて
ヒツジはもうご立腹でジンギスカンをやけ食いしてさ
というのも嘘だったりして

そもそもヒツジの毛刈りをしたことがなかったし
毛糸にするのもはじめてのことで
しかもヒツジは
多色使いの複雑すぎる編み込み模様を
リクエストしてきたりで
時間がかかって仕方がなくて
出来上がる頃にはヒツジはふかふかに戻ってしまって
サイズにふかふかの分は含まれていなかったから
これじゃあ着れないじゃんって困り果てたのも
全部嘘でしかなくて

まあなにはともあれ
ジンギスカンは最高においしかったし
良いってことにしようじゃないかって
ヒツジは笑って許してくれたんだ
と言うのだってもちろん嘘だし

でも世の中の本当がどこにあるのかなんて
分かったもんじゃないのだから
この中に幾らか本当が混ざっていても
誰も気づきはしないだろうし
でもまあそんなことはあり得ないことだよねって
今断言することが確実に嘘になるし

要するにこの戯言はでもって
何が言いたいかというと

秘密主義のわたしが邪魔をして
どうしても教えることはできないのでした

ってそれすらが嘘だけどね
というのが本当に嘘だよ
なんて嘘に決まってるじゃん
引っかかったー、騙されたー

嘘松決定の勧告に
とても憤っています
あなたは何を知っているの?
ああそれ、フェイクニュースじゃん、ウケる


性被害者が自分の体験を話すとき

性被害の内容を、
吐き出すように投稿すると、
嘘松w
と言われたりすることが、
被害者たちには起こります。
まるでR-18の小説のような、
過激すぎる内容のことが、
あり得ない体験を現実ですることが、
現実に在るなんて思えないのでしょうね。
でも、嘘であればどんなに良いだろうか……
被害者が誰よりも強く思っているのです。
現実に、まるで拷問のような痛みに晒されて、
生き延びてしまったことを、
後悔したりしながらも、
生きて行こうと必死になって、
こんな世界が現実に在るのだと零せば、
嘘吐きの扱いをされて、
どんなに苦しいかを、
きっと分かりはしないから、
簡単に否定するのでしょうね。
でも、嘘だって決めつけたいのは、
それが現実に在ったらどんな地獄だよって、
思うほどの内容で、
とても事実に思えないってことでしょう。
事実であってたまるかよってことでしょう。
それが、たとえばそれを受けて生きていられるはずがない、
なんて根拠でも、
それが現実に起きる世界なんてあり得ないから嘘でしかない、
なんて根拠なのか、
どちらもただの仮定を根拠にしています。
どうかそれを証明してから根拠になさってください。
この世界は、異常な世界を内包した現実です。
拷問のAVのようなものが、実際にあり得ます。
もしかして、
フィクションとして楽しみ続けたいからの、
現実ではそれはない、
と否定したのでしょうか?
そうだとしたら軽蔑します。
あなたは自身の快楽のために、
実際に在る事柄すらも、
フィクションだってことにしているんですね。
あなたが快楽として消費したものも、
実際に痛みと苦しみを強要されたもので、
その被害者は命を絶ったかもしれない、
空想の世界から出てくることも無くなったかもしれない、
人間として終わってしまったかもしれない、
いまも苦しみ廃人のように生きているかもしれない、
もしかして、
それすらがあなたにとっての快楽でしたか?
これは失礼。
あなたは治療が必要な、
異常心理をお持ちのようですね。

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