性的マイノリティと養子縁組
性的マイノリティ(LGBTQ+)当事者のなかには、パートナーと法律上の家族関係になったり、パートナーとの間にこどもを迎えるために、養子縁組をすることがあります。
そこで今回は、LGBTQ+と養子縁組についてご一緒に考えてみましょう。
パートナーと養子縁組をすると?
パートナーとの間で養子縁組をすると、法律上は親子関係になります。年長者が養親、年少者が養子です。
いまの日本では同性同士の婚姻が法制化されていません。そのため、同性カップルが法律上の家族関係になるために、普通養子縁組が利用されています。
養子縁組の手続方法は?
養子縁組の手続は、市区町村役場の窓口に普通養子縁組届を提出します。養子縁組届の記入には証人2人が必要です。届けた日から効力が発生します。
パートナーと養子縁組をするメリットは?
パートナーと親子関係になることによって、次のようなメリットがあります。
扶養義務が発生する
法定相続人になれる
健康保険の扶養者・被扶養者になれる
2割加算の対象外になる(相続税)
父母・祖父母から贈与された場合の特例税率が適用できる(贈与税)
父母・祖父母から住宅取得資金等を贈与を受けた場合の特例が利用できる(贈与税)など
また、ふたりの年齢に差があれば、ふたりの関係が対外的に説明しやすくなることもあるかもしれません。
パートナーと養子縁組をするデメリットは?
養子縁組をすることによって親子関係・家族関係にはなれますが、婚姻関係にはなれません。
パートナーが法律上の配偶者ではないことで、次のようなデメリットがあると考えられます。
民法の婚姻関係規定が適用されない
「常に相続人」になれない
所得税・相続税・贈与税の配偶者控除等が利用できない
国民年金の第3号被保険者(配偶者)になれない
養子縁組した者同士は、離縁をしても結婚できない(将来同性婚が実現したときに結婚できない可能性がある)
親族が戸籍を見る可能性がある
親族から無効の訴えをおこされる恐れがある
パートナーに子や親がいる場合の相続は?
パートナーにこどもや親がいる場合は、常に相続人になる配偶者とは異なり、法定相続になったときに思ったような遺産配分ができないことが考えられます。
年少者(養子)に子がいる場合:子(第1順位の相続人)が相続放棄しない限り、パートナー(養親)に遺産配分ができない
年長者(養親)に子がいる場合:法定相続の場合は、子とパートナー(養子)で等分
年少者(養子)に子はいないが、親が健在である場合:法定相続の場合は、親とパートナー(養親)で等分
こどもを迎える場合は?
同性カップルがこどもを迎える方法は、養子縁組と里親制度があります。
養子縁組
養子縁組をした場合は、法律上の親子関係になります。
養子縁組は、特別養子縁組と普通養子縁組の2種類がありますが、特別養子縁組は法律婚の夫婦でなければできないため、普通養子縁組で迎えることになります。
里親制度
里親制度では、児童相談所からの委託による養育関係となります。法律上の親子関係は生じません。
各自治体のパートナーシップ制度を利用することで同性カップルも里親登録ができるようになっているところがあります。例えば、東京都パートナーシップ宣誓制度の場合、都事業の活用先として「里親の認定登録」があげられています。
里子の年齢は原則0〜18歳までで、家庭復帰や18歳での自立等による措置解除により関係が解消します。
また、里親制度を利用し、こどもとの関係をしっかりと形成してから、養子縁組で法律上の親子関係になることがあります。
まとめ
同性カップルの間で養子縁組をすると、法的な家族関係となれることから生じるさまざまなメリットがある反面、デメリットもあります。
もしも、養子縁組について心配ごとやお困りごと、疑問がありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^