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自筆証書遺言書保管制度とは?

自分で遺言書を作ったけれど、「なくしてしまわないか心配」「自分が死んだ後に家族に見つけてもらえるか心配」といった声をよくお聞きします。

そこで今回は、自分で作った遺言書を法務局に保管できる自筆証書遺言書保管制度についてご一緒に見ていきましょう。


自筆証書遺言書保管制度とは?

自筆証書遺言書保管制度とは、自分で作った遺言書(自筆証書遺言)を遺言書保管所(法務局)に保管・管理してもらう制度です。

どんなメリットがあるの?

無効な遺言になりにくい

遺言書の保管申請時に、自筆証書遺言の法律上の形式ルールに合っているかをチェックしてもらえます。遺言は形式ルールに合っていないと無効になることがあるため、この点を確認してもらえることは安心です。

ただし、遺言の有効性を保証するものではありません。また、遺言の内容についてのチェックや相談はできません。

紛失や書き換えが防げる

法務局に預けた遺言書は、原本は遺言者死亡後50年間保管されるとともに、画像データ化され、遺言者死亡後150年間という長期間保管・管理されます。

そのため、紛失や、相続人などの利害関係者による書き換え、秘匿、破棄などを防げます。

死亡後に遺言書があることを遺族等に伝えられる

法務局が遺言者の死亡を確認すると、法務局から遺言者があらかじめ指定した相続人や遺言執行者などに、遺言書が法務局で保管されていることを通知する仕組みがあります。

せっかく作った遺言書を見つけてもらえないということがありません。

家庭裁判所の検認手続が不要

自筆証書遺言は、遺言者が亡くなられた後、遺族が遺言書を家庭裁判所に持ち込んで、検認という手続を受ける必要があります。この手続が終わるまで2~3ヵ月程度かかるといわれています。

しかし、法務局に保管した場合はその手続が必要ありません。そのため、すぐ遺産分割の手続に入ることができ、遺族の負担が軽くなります。

遺言書の作り方は?

法務局に遺言書を保管する場合は、民法で定められた自筆証書遺言の要件に加えて、自筆証書遺言書保管制度の要件も満たした遺言書を作成する必要があります。

民法で定められた自筆証書遺言の要件

  • 遺言の全文・日付・氏名の自書と押印

  • 自書によらない財産目録を添付する場合は、各ページに自書による署名と押印が必要

  • 加除修正をする場合は、法律の規定どおりに行うことが必要

  • その他

自筆証書遺言書保管制度の要件

法務局で用意している遺言用紙などを利用して、要件に合った遺言書を作成します。

  • 用紙はA4サイズ

  • 文字の判読を妨げるような地紋・彩色等のない用紙を使用

  • 余白を確保(上側5mm以上、下側10mm以上、左側20mm以上、右側5mm以上)

  • 余白にはページ数や変更・追加の記載を含めて何も記載しない

  • 片面のみを使用(裏面には何も記載しない)

  • 遺言書本文・財産目録の各ページに、総ページと通しでページ番号を記載(例:1/3、2/3、3/3 余白には記載しない)

  • ボールペン等の容易に消えない筆記具を使用(長期間保存するため)

  • 複数ページでも綴じ合わせない(ホチキス・糊付け等不可)

遺言書の記載例
(出典:法務省

保管までの手続の流れは?

STEP1 遺言書の作成

法務局で用意している遺言用紙などを利用して、要件に合った遺言書を作成します。

STEP2 法務局を選び予約

遺言書保管所となっていて、次の3つのいずれかを管轄する法務局から選びます。

  • 遺言者の住所地

  • 遺言者の本籍地

  • 遺言者が保有する不動産

保管する法務局を選んだら、専用サイト(法務局手続案内予約サービス)か、電話で予約をします。

STEP3 必要書類の準備

当日までに、必要書類を準備します。

  • 遺言書の保管申請書

  • 本人確認書類(官公庁から発行された顔写真付きの身分証明書)

  • 住民票の写し(本籍地と戸籍の筆頭者の記載のあるもので、マイナンバーや住民票コードの記載のないもの)

  • 遺言書が外国語により記載されているときは日本語による翻訳文

  • 3,900円分の収入印紙(法務局でも購入できます)

保管申請書の様式や記載例は、法務省のサイトに掲載されています。

STEP4 法務局に出向いて保管の手続

遺言者ご本人が直接法務局に出向いて、手続をする必要があります。子どもさんや専門家などの代理手続は認められていません(付き添いは可能です)。

予約時間になったら窓口に声をかけて、遺言書等を預け、遺言書の確認のため1時間ほど法務局のなかや近くで待機します。

問題がなく保管できることを確認してもらったら、手数料を納付し、保管証を受け取ります。

保管にかかる費用は?

遺言書の保管にかかる費用は、法務局に支払う保管手数料として、1件につき3,900円かかります。

また、市役所から住民票の写しを取り寄せる費用として、1通数百円かかります。

まとめ

自分で遺言書を作ったけれど、「なくしてしまわないか」「死んだ後に家族が見つけてくれるか」という不安は、自筆証書遺言書保管制度を利用することで軽くすることができます。

遺言書作成や終活・生前対策について、疑問や不安なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^