NHK番組発掘プロジェクトと違法動画について

「NHK番組発掘プロジェクト」をご存知だろうか。
おもに1950~1980年代を中心としたNHKの番組の録画テープの提供を呼びかけているプロジェクトです。
この時代のテレビ番組の収録テープは高価だったため、一度放送で利用したあと、次の番組収録に利用するため上書き消去されてしまいました。
これはNHKに限らず、民放も同様でした。

2013年4月の設立から8年経ちました。
その間「プリンプリン物語」「少年ドラマシリーズ」「ステージ101」「レッツゴーヤング」「連想ゲーム」「花神」「赤ひげ」「天下堂々」など、さまざまな番組が発掘されています。

一方、放送局に残っていない番組が、YouTubeなどにアップロードされている例もあります。
中には、違法アップロードかつ放送局に残っていない番組であることを知りながら、放送局に提供せず、映像にテロップを入れたり画面をあえて見づらくする加工をしてアップロードする意地悪な人間が存在します。

このような行為は、過去の文化遺産を後世に伝えようとする人たちの気持ちを踏みにじる行為であり、大変悲しく思います。

そして、その動画を見ている視聴者は、ただ番組を懐かしむだけではなく、放送局への提供を動画投稿者に促すことができないだろうか?
動画へのコメント欄を見ても、懐かしい思い出話や、映像が見られたことへの感謝は書き込まれていても、ビデオ提供を呼びかける書き込みは、ほとんど見られない。

また、YouTubeなどにレア級の番組がアップロードされると、ファンは発狂するのに、ファン自らホームページやSNSなどで、積極的にビデオ提供を呼びかけたりする例は、ほんの僅かである。

とくに、昭和世代は一つくらいは思い出の番組はあるはずでしょう。
それなのに、仲間と協力して、録画テープ提供を呼びかけようとしない、あるいは消極的なのは、非常に情けないことである。

なかには、高い機材を買って、番組を録画したのに、その番組を放送局に無償であげるということはしたくないといった自分勝手な考えを持つ人間や、「番組発掘プロジェクト」はソフト化で金儲けしたい商業姿勢な放送局の思惑ではないかという誤解まで広まってしまっている。

実際は、過去の番組をもう一度蘇らせ、後世に伝えたいというNHKの純粋な思いが込められている。

しかし、スタッフの人数は少なく、予算も少ないため、ポスターが制作できないほどである。
この状態が、未だに続いている。
こうしているうちに、貴重なビデオがまた廃棄されてしまったり、災害で消失されたり、オークションに出品されてしまう。

昨年、2021~23年度のNHK経営計画策定に向けた意見募集が行われることに合わせて、私は「NHK番組発掘プロジェクト」のスタッフ・予算を増やし、受信料徴収同様、家庭用テープ提供の義務化を実現すべく、Twitterで賛同者を集めて意見を書いて、NHKに提出した。

しかし、意見を出した1800人のうち、私の呼びかけに協力してくれた方は、僅か4人ほどしかいなかった。
詳しくはこちらを参照いただけたらと思います。
このように、過去の番組には関心を持つ割に、録画テープ提供には興味を示さないところに、失望感を覚えました。

最近、私も「NHK番組発掘プロジェクト」に興味を無くしつつある。
スタッフの人数や予算が少ないのはもちろん、プロジェクトのホームページが2週に1度の更新になった(コロナの影響か?)のが理由のひとつ。

あと、「NHK番組発掘プロジェクト」のホームページにある「発掘重点番組」の発掘の進捗情報が、2017年11月時点のままである。
あれから3年経ったから、そろそろ更新しても良いのではないかと思う。

それにしても、国民は録画番組の提供に関心を持たないままで良いのだろうか?
いつまでも違法アップロード動画ばかり見て良いのだろうか?
合法で見たいという思いは無いのだろうか。
私は、危機感を抱いている。

最後に「NHK番組発掘プロジェクト」の連絡先を記載するので、心当たりある方は、情報提供をお願いしたい。

〒333-0844
埼玉県川口市上青木3-12-63
NHKアーカイブス
NHK番組発掘プロジェクト事務局
TEL:048-268-8130
FAX:048-268-8280
ホームページ

民放もそろそろ、発掘プロジェクトを立ち上げても良いと思うが、なかなかそのような話は聞かない。
放送業界関係者も家庭用テープが次々と廃棄・消失されていまうという危機感をもってもらいたいものだ。
そして、ビデオ提供義務化の実現を、心から願いたいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?