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なぜ語彙が多いと認知症になりにくいのか

記憶力、判断力が衰えてしまう認知症。
今、どんな人が認知症になりやすいかの研究があちこちで行われています。

・認知症を防ぐのは社会的つながりと「語彙力」?

多数の修道女に協力してもらったアメリカの研究が、けっこう興味深いのです。

修道女は、若い時から修道院に所属し、みんなが同じ生活を送っているので、研究の対象として適しています。そこで、いろいろな面から研究した結果、予防に関係しそうな二つの要素が見つかりました。

まず多くの人と触れ合う人、社会的つながりの豊かな人は、認知症になりにくい。

新しい刺激が多く、対人関係で脳を使うことから、脳が活性化しやすいからでしょう。

面白かったのはもう一方で、
「20歳のときの語彙力が豊かだった人は認知症になりにくい」
という結果。

日記など、若いときからの文章を分析した結果、語彙数が多く表現力が豊かだった人は、認知症になりにくかったのです。

語彙数がなぜ脳を保護するのか、記事では触れられていません。おそらくは研究中。

・なぜ語彙が増えると認知症になりにくいのか

ということで、ここからは素人考えです。

語彙が多いと認知症になりにくいのは、私たちが言葉によって世界を見ているからではないでしょうか。

NHKの人気番組、ブラタモリを見ていると、そのことがよくわかります。
町の中にあるちょっとした段差を見て、案内役の先生やタモリさんは
「河岸段丘ですね」
などと言います。そこから昔の川の流れるコースを読み取ったり。

言葉、つまり概念を知っている人にとっては、単なる段差さえも多くの情報を伝えてきます。

多くの言葉を知っていることで受け取る情報量が増える。
また、考えることの組み合わせも増えて、思考の量が増える。

そうした差が長期にわたって続けば、認知能力の差が出てきても不思議ではないですよね。

・若い時に語彙が多くないとダメか

この研究では、10代半ばから20代の語彙力を問題にしていました。
では、もっと歳をとってからでは意味がないのか?

意味がある、と考えます。
この調査で対象になったのは修道女。修道院に入ってからは全員が同じ生活をしています。
だからこそ、若いときの差がそのまま何十年も維持されたのではないでしょうか。

もし違う生活をしていれば結果も変わるはず。
年齢が上がってからでも、語彙数が増えれば同じ効果が期待できるでしょう。

いくつになっても、学びには意味がある。そういえば、こんな言葉もありました。

少にして学べば則ち壮にして為すことあり
壮にして学べば則ち老いて衰えず
老にして学べば則ち死して朽ちず

言志四録

参考
WIRED 
「症状が出ないアルツハイマー」:脳と言語技能の関係を研究

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