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婦人科を受診すること

わたしは去年の5月から低用量ピルを服用している。
原因は主に2つ。
①年を重ねるにつれて、生理痛が酷くなってきていること
②顎まわりの肌荒れがひどいこと

1年服用し続けて、両方ともかなり改善された。
とてもありがたい。

と言っても①はつい数か月前まではピルを服用してもやや重い生理痛はあり、鎮痛剤を飲んでやりすごしていた。しかし、股関節回りのストレッチをすることで、ほとんど痛みを感じなくなった。

これはあくまでわたしの推測だけど、血行が良くなったからなのではないか?と思っている。
低血圧で末端冷え性、運動もほとんどしない社会人生活を長く送ってきたけど、そういえば部活で激しい運動を毎日続けていた頃の生理痛はとても軽かった。
そういうことなのかもしれない、と思った。

低用量ピルは、わたしが通うクリニックでは初回では1シート、服用してみて問題がなさそうなら以降は1回に着き最大3シート処方してくれる。

今日はもうすぐ手元にあるシートがなくなりそうだったので、久しぶりにクリニックに足を運んだ。

前回は3月の半ばくらい。
3月頭に謎の体調不良で嘔吐・下痢していた為、薬が十分に体に吸収されなくて不正出血が続いていた。
そして今回も不正出血していた。1回ピルを飲み忘れた日があったのだけど、やはりそれが原因のようだ。1回飲み忘れた場合は、翌日飲み忘れた日の分とその日の分の二錠を飲めば大丈夫らしい。知らなかった。
いや、説明されたのかもしれないけど忘れていた。よくない。覚えておこう。

コロナの影響のせいで、予約の枠がかなり限定されている。
本当は先月尿検査、今月採血・エコーの予定だった。けど、予約がとれなくて、今日まで来られなかった。
だから、今日尿検査したしもう終わりか、とのんびりしてたら
「今日体調が大丈夫そうなら採血・エコーしましょう」
と提案された。

めちゃくちゃ気が利く提案。
だって今日やっちゃえば改めて来院する手間かからないし。
「すごい親切」と思うと同時に「まじか、全部やるの?」
と動揺しながら、「お願いします」と口に出していた。

前回、今回と担当してくれるスタッフの方、とてもやさしく、気が利いて、頭もいいんだろうな、という声かけをしてくれる。
「エコーと採血、苦手なものはありますか?」と質問されたので、素直に「エコーが苦手です」と答えた。
加えて、どっちが先の方が楽かと選択肢を与えてくれたけど、それはどっちでもよかった。
採血は得意です、と答えたら笑っていた。

結局エコーが先になった。
どっちが先でもよかったけど、できれば苦手な方を先に済ませてしまいたかったので、ほっとした。

下着を脱いで、あの内診台に座る。
この台、いやなんだよなあ。
会社の健康診断で子宮がん検診を受けないなら、今回一緒に受けた方がいいのでは?と提案される。一石二鳥だもんね。やはり気が利く。
ええい、ままよ、と思い「お願いします」と答えた。

しっかりと「エコー、内診が苦手」と伝えていたから、診てくれる先生も始める前に「小児対象者に使う小さい器具を使う」と説明してくれた。多分こう言ってたと思うけど、緊張で記憶が朧気だ。とにかく小さい器具で負担がかからないようにしてくれるらしいと理解できる言葉をかけてくれた。

台の下半身の方が上がり、頭が斜め下に下がる。
こわくて目をぎゅっと瞑ると「目は開けておいてね」という言葉が降ってきた。頭の上というか後ろにもスタッフの人がいてくれたみたいで、「両手は胸にね」「力抜いてね」と声かけてくれる。
目を瞑るとだめなのは、力んでしまうからだと思う。今後の参考にしたい。
胃カメラを初めて飲んだ時も、背中をずっとさすってくれるスタッフの人がいてくれたことを思い出した。苦しくて辛くて、あの人がいなかったらパニックになっていた自信がある。
辛いことや苦しいこと、痛いことに寄り添ってくれる人がただ「そこにいてくれる」だけで、幾分か冷静になれるし、励まされる。

診始める直前、先生に「そういえば歳いくつ?」ときかれ、「31です」と返答した。恐らくだが、性交渉の慣れ具合というか、内臓へ異物を挿入することへの経験とか抵抗感を推し量りたいという意味があったんじゃないだろうか。

性交渉は多くはないけど、それなりにはある。
でも苦手なものは苦手だし、痛いものは痛い。31歳であっても。

思うに、検査それ自体の抵抗感というより、そこから思い出される辛かった・痛かった記憶が怖いんだと思う。

社会人になって初めて男性と付き合って性交渉をした。
わたしは絶対避妊してと言ったけど、相手は「外に出すし大丈夫」と言って、ゴムを付けずに挿入することがあった。
何の根拠で大丈夫と言うのか全然わからなかった。信じられなかった。
性教育の敗北に目の前が真っ暗になった。
所詮、男性にとっては全部外側で終わることなんだ。
結局ゴリ押されてそうなってしまったときは、妊娠したらどうしようとこわくてたまらかった。生理がきて、あんなに嬉しく胸を撫でおろしたことは、後にも先にもない。今思うにわたしは彼のことをすきでもないし、信頼もしていなかった。ちゃんとすきで、信頼してたら、妊娠してもやぶさかではなかっただろうし。でも、わたしの意見を適当にあしらって、自分の欲だけ押し通そうとする人はどっちみちだめだな。

こういうことが何回かあって、それがトラウマになっているのかもしれない。ねじ伏せられること、予期せぬ事態に放り込まれること、痛みがあること、その可能性を感じて、全身に力が入ってしまう。

今回の検診に携わる方はみな女性だったので、そんな危険はないのだけど、脳と体に植え付けられた記憶がわたしにそうさせる。

検診中は先生があえて、五本指ソックスは履くのが大変じゃない?とか、靴下の洗濯方法等の世間話をふってくれて、気を紛らわそうとしてくれた。
ちなみにこれはわたしが五本指ソックスを履いていたからであり、先生曰く靴下は裏返して洗濯しないと匂いは充分にとれないし、すぐ傷んでしまうらしい。検診だけでなく、知識も分け与えてくれるとは、さすが先生。
相槌を打ちながらも、異物感あるし奥の方を触られると痛いし「ウッ」と声に出していた。そしてその間も、後ろの人がなにかやさしいことを言ってくれてたと思う。必死で記憶がないけど。

で、先生が「問題ないです」と言って(多分そういう旨のことを言っていた)終わり。前と後ろのスタッフの人がなにか労いの言葉をかけてくれていたと思う。放心状態で台を降り下着を履いてその場を後にした。

残りは採血。採血は得意なので問題ない。
問題ないけど、横になりましょうと提案されたので横になることにした。横になって採血されるの、4年前入院していたぶりだわ。
気を紛らわす必要はないけど、世間話をふってくれた。
雨がひどくなってきたとか、梅雨明けはだいたい1カ月先になるとか。
その時、スタッフの方が「7月に入ってもまだ梅雨でしたっけ?」と言ったので、ん??となっていたら、やはり北海道出身のようだった。
北海道は梅雨がないから。
梅雨がないからという理由で引っ越したいくらいだ。
母も北海道出身なので、道民あるあるの話に花が咲く。
やはり家の中は暖かいというか暑いのでアイスを食べるらしい。でもこっちの家は寒いので、アイスは食べないと。
うちの母はこっちの家は寒いと言いながら、石油ストーブとエアコン両方使ってアイス食べてるけどね。

そんなことを話しているうちに採血は終わり。
採血なんて、なんでもないです。
この方はうまいんだろうな、と予想してその通りだったし。

そして今日の検査は終了。

婦人科検診の後は、とてつもない虚脱感に襲われる。
ちょっと休んでから帰ろうとミスタードーナツに寄る。

おわった・・・

相変わらず苦手な検診だったけど、苦手なものを苦手と伝えれば、それに対処してくれるはとてもありがたいことだと、気づいた。
苦手なんて甘えとか、その歳になって、と詰られもしなかった。
むしろすごく励ましてくれた。
これってとてもやさしいことだ。
いくつになっても苦手なことは苦手でいいんだ、無理しなくていいんだ、と泣きそうになってしまった。

検診のトラウマのもう一つに、初めての時おじさん先生で「これくらい痛くないでしょ」「やりづらいからちゃんとして」と言われたことが、すごくいやで、怖かったのを思い出した。
わたしが痛いって言ってるんだから痛いんだよ!
わたしじゃないくせに、否定するな!とすごく腹を立ててたことも。

だから、今日のクリニックのやさしさは当たり前なんかじゃない。
とても貴重で稀有なことなんだ。
そしてそれに巡り合えたのはとても幸運なことだ。

とりあえず今年の検診は終わったので、これでよし。
雨の日に、よく頑張った自分と褒めたたえて今夜は眠ろう。

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