からあげの呪い

「絶対に、痛い目にあわせてやるぞ。」
ある日、ニワトリは決意した。
「誰をだよ。」と隣のニワトリが言うと、
「俺を食べる奴をだ!」と答えて、息巻いていた。

別に、息巻いたからと言って、何をするでもない。
せいぜい、ちょっと早歩きで動き回りながら、
「お前はいいのか!黙って食べられても!」
とか、大声で騒ぐくらいのものだ。

「元々、そのつもりだしなあ。」
そう言うこっちのニワトリは、落ち着きがある。
「ここ、養鶏場だぞ。」
落ちてるエサを見つけて、つまみ食いをする。
「…で、俺たちは食肉用のニワトリだ。」

「許せない!俺を食べる奴が!痛い目にあえばいい!」
「それはいいけど、どうやってだよ。」
「俺がアツアツのからあげになったら、肉汁を飛び散らせてやる!」
「しょうもないな、おい。」

「お前はいいのか!」
「いいよ。食べてくれるだけ有難いだろうが。」
「食べるために育てておいて、そんなことあるかよ?」
「あるらしいぞ。腐らせたとか、食べきれないとかで捨てるんだと。」

そう言われると、有難いような。
そんな気がしてきたかもしれない。でも、
「それはそれとして、俺はやるぞ!アツアツの肉汁を!」
「冷めないうちに食べてくれるといいな。」


6月10日 月曜日

夕食がからあげだった。
ちょうど出来立てのタイミングで食べられて幸せだったけど、
噛んだ拍子に肉汁が飛び出て、ちょっと痛い目にあった。
でも、美味かったな。熱々を食べるってのは良いものだ。


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