雨がそんなに悪いのか

朝が寒い。
布団からなかなか出られない。そんな季節になった。
まだ、この寒さに身体も慣れない。
しかも、今日は朝から雨だ。

「イヤだね、天気が悪い日ってのは。」
と、傘を広げながらつぶやくと、
「勝手に悪者にしないでほしいな。」
と、空の上で、雲が機嫌を損ねた。

「雨こそ良い天気だろう。うるおいってのは大事だぞ。」
「僕は濡れるのイヤなんだけど。」
「ふん。降らなきゃ今度は呼び出すくせに。」
「そりゃ、全然降らないのも困るけどさ。」

そんな口喧嘩をしているうちに、
駅に着いて、屋根に入った。
傘の水を切りながら上を向いたら、
雷がピカッと光るのが見えた。

まずい。怒らせたみたいだ。
でも、イヤなもんはイヤだしなあ。

で、昼間はけっこう暖かい。
さっきの雨雲は、気が済んだのか、泣き疲れたのか、
すっかりいなくなっていた。

池の近くのカエルが空を見て、
「イヤだね、天気が悪い日ってのは。」
そうつぶやくと、太陽が機嫌を損ねた。
「勝手に悪者にしないでほしいな。」

「晴れてる日こそ、良い天気の日だろう?」
「身体が乾いちゃうから、イヤなんだよね。」
「ふん。雨ばっかりだと寒いって言うくせに。」
「もうすぐ冬眠の時期だ。別にいいさ。」

そんな口喧嘩の横を通り過ぎて、
朝にもこんなケンカがあったな…と思って、
そこで、傘を持っていないことに気付いた。

まずい。忘れてきた。
でも、戻るのも面倒だなあ。

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