隕石の日記『地球到着』

さっきまでは寒かった。
大気圏に入ったあたりから、
逆に、めちゃくちゃ暑くなった。

暑くなると、痩せていく。
石は汗をかかないし、
カロリーを消費したりもしないけど、
単純に、燃えて小さくなるからだ。

「しまいには消えちゃうかもな。これは。」
落ちていきながら、独り言が出てくる。

まあ、そうなったらその時だ。
あの世だとか、死後の世界だとかがあるなら、
自分もそこに行くのかな。

…石って、死ぬのかな?
他の石が死んだのも見たことないし、
自分も死んだことないから、知らないや。

幸い、着地するまで消えずに済んだ。
…着地じゃないや。着水か。
ちょうど川の水のところに落ちた。

さっきまでは暑かった。
水に浸かって動きを止めたら、
逆に、めちゃくちゃ寒くなった。

幸い、誰かが近づいてくる気配がする。
落ちるところを見てた誰かがいたらしい。

長旅だったし、めちゃくちゃ疲れた。
拾ってくれたなら、今夜は泊めてもらおう。

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