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ガッキーと結婚した星野源に対して当時思ったこと

正しいものは正しい、間違ってるものは違う、と自分なりの正義を貫いてここまで生きてきたと思う。その結果不自由な生活をしてるとか、不幸せとか感じたことは全くないが、どこで、どこから、人ってここまでの差がついてしまうのか、星野源がガッキーと結婚したニュースが流れ込んできた時、思わず考え込んでしまったことを覚えている。

日々積んできた”徳”にそこまで大きな差があったのか、あるいは、少しの過ちでも大幅に”徳”が没収されてしまう、そんなことがあるのかと思わずにはいられない。
だとしたら、どこにその過ちがあったのだろうか。



小学生の頃、俺はご多分に漏れずヤンチャな少年だった。
ヤンチャと同じぐらい純真無垢な少年だった。バトルヒーローも、プロレスやK-1、PRIDEも大好きだった。

あとアリジゴク、すげえかっこいいと思っていた。うまい具合に自分のフィールドにアリを連れ込んで仕留めるスナイパー、超憧れた。
一番強いNo.1になりたい、No.1を知りたい。異種格闘技戦に大ハマりな俺は、ある純粋な疑問をこの目で確かめたくなった。

「アリジゴクとアリ、同じフィールドで闘ったらどっちが強えんだ!?」
確かにアリジゴクは自分のフィールドでは圧倒的な強さを誇る。じゃあそれを全て信じてアリジゴク>アリでいいのか?
安生洋二がボコされたからプロレスは負けでいいのか?俺たちの高田がヒクソンとやったら、結果は違うんじゃないのか?

俺はその願いを確かめるために、庭のアリジゴクを巣から引っ張り出し、近くのアリを1匹捕まえ、虫カゴケージマッチ10.11を開催した。

睨み合う両者、激しい攻防、テクニカルな関節の取り合いを予想していた俺はあっけに取られた。
両者は全く組み合おうとしないばかりか、お互いを警戒し、虫カゴの両コーナーから全く動こうとしないのだ。虫カゴをゆすったり、直接両者を近づけたりくっつけようとしてもお互い離れていくばかりで、全く試合にならない。
猪木アリでもなし得なかった世紀の凡戦に、プロモーターの俺は心底がっかりした。
俺が信じていたアリジゴクは臆病者で、自分のナワバリから一歩でも出れば、アリ1匹も倒せないのか…


ここでは終われなかった。チキン野郎のアリジゴクが許せなかった。
性根を叩き直してやろうと思った。俺がお前を鍛えて、強い一人前の男にしてやろうと思った。

遠征だ。
道場破りだ。
虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。

さっき情けない試合をしたアリジゴクをゲージから引っ張り出し、さっきのアリを拾ってきた巣穴に持っていった。
ほら、お前の大好物のアリがたくさんいるぞ。食べ放題だ。
彼らの地で、思う存分暴れてこい!
アリがうじゃうじゃ出入りしている巣穴の中に、アリジゴクを放り込んだ。


数の暴力ということわざをこの目で確かめることになった。
数十、数百の凶暴なアリに、なす術なくバラバラに引き裂かれていくアリジゴク。
ものの数十秒後には、彼の2%も目視することはできなかった。
散々アイツのことを意気地なしだヘタレだのと罵っていた僕は、いつの間にかアリが怖くなっていた。



星野源とガッキーが結婚してもう3年近くになるらしい。
“徳”というものは、こういう生き物の命を使ってゼウスみたいな遊びをするわがままな小僧の元からは、どんどん没収されていっていたらしい。

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