映画「街の上で」の話。(ネタバレ)
今更ながら、『街の上で』という映画の感想を語らせていただきます。以降日記の本文のままなので、語彙力ゼロの“〜だ・である”調ですらないものでネタバレを語らせていただきます。
友人に誘われて行った『愛がなんだ』という同じ監督の作品が刺さり、ラジオ(#むかいの喋り方)で『街の上で』がかなり良かったというのを聞いて、上映最終日の映画館に一人で滑り込んだ。
ひとりで『街の上で』を観に行った。わりかし好きなタイプの話。特に大きな山もなく、谷もなく。クスクス笑えるような、なんとなく優しい気持ちになれる良作だった。毎回だが、今泉力哉の作品の主人公はなんであんなにダメなやつばかりなのか。前回の脇役仲原よかったけど、今回の青は余計なこと言うし、人の気持ちも読めない、緊張しいで、なのに馴れ馴れしいやつ。仲原も馴れ馴れしかったか。まぁ、主人公のそんなところも魅力の一つだ。
女の子が4人出てくるんだけど、またそれも魅力的。元カノの雪は、青を浮気してふった、成田凌(役名を覚えてなかった…)と付き合うけど、やっぱり楽しくないと別れる。ちなみに成田凌は顔のいい青って感じのキャラクター。雪は、成田凌に一緒にいても楽しくないと言って別れる。青に会わせろって言ってくるけど、断ったの。でも、願ったって叶わない恋をするお巡りさんに感化されて、青を成田凌に会わせた。
冬子は結婚してる男にしか惹かれない。でも、青に惹かれつつあるようなないような。でも多分、彼女のは恋心ではなくって、親愛の類だと思うけど。
町子は青に対して何の感情もない。ただ街で見かけたいい感じに本を読んでた人。彼女のファイナルカットには青は必要なかった。
イハよ。圧倒的イハよ。いい子なのな。かわいいのよ。イハのシーンは全部優しいのよ。何がいいってイハの最後のシーン。ほんとの映画には、青のシーンはないのよ。でも、彼女のファイナルカットにはちゃんと青がいるから、「流れてたよ」って言うのよ。あれね、いいのね。イハにとっての青は必要な友人なのよ。キュンとするよね。そして、イハも片想いしてるのよ。なのに、その日会った男を家に上げちゃうのよ。なんかありそうで結果何もないんだけど…。で、家から出た後のシーンが面白かったな。彼氏とばったり鉢合わせるの。そこで、マスターと雪に会うの。彼女いるじゃんみたいな感じになる。いや彼女じゃないって!みたいな。でも、そこにイハの元カレが来るからやっぱり彼氏のフリしないといけないのよ。あなたの前では彼氏ですけど、こっちには彼氏じゃないです。みたいな。あれ面白かった。イハについてなら無限に語れる。
結果、雪とより戻すんだけど、家で過ごしてたら、そういえばみたいな感じで別れた日に買った誕生日ケーキが出てくるのよ。それを最後雪が食べるの、まだいけるよって。あの時必要なかったものも、今になって必要なものにもなるって。チーズケーキのうたのカセットもそう。ケーキは間に合ったけど、カセットはもう使えなくなってた。誰かにとって不要なものは誰かの大事なもの。もういらないと思ってたものは、必要になった時にはもう使えなくなってる。最初の方に出てきたあの謎のバンドマン風のカップル。彼女たちには彼女たちの物語があったんだろうなって思うし。良かったなぁ。本当だったらあったはずの物語。下北沢のどこかで、主人公はそれぞれでみんな一つずつ物語を持ってる。誰かにとって必要だったシーンは、誰かにとっては必要なくて、それぞれのファイナルカットは違う。主人公はそれぞれでみんな一つずつ物語を持ってる。イハが最後についた嘘はイハにとっては嘘ではない。町子にとって青は必要なかった。でも、イハの中では青のシーンは確かにあった。嘘でもなんでもなく、イハにとって必要な登場人物だった。雪が最後に食べたケーキ。いらないと思っていたものでも、使ってみれば悪くはなくて。捨ててしまわなければまだ間に合うと言うような感じがした。喋りすぎたかな。
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