誰がための支援か?-前半 (ハケ子の深堀)

2020年3月2日付、東京新聞の記事です。記者はこう読者に問いかけています。

氷河期世代の人たちに対する国の支援が、四月から本格的にスタートする。しかし、「これまで見放されてきた」という思いが強い当事者を救うのは、簡単ではない。安定した雇用を取り戻すには、どんな支援が求められるのか。

「これしきで見放されたとか思うその根性ガー!」と中国新聞の例の記事よろしく、あれこれ我々世代にモノ申したい人がいると思いますが、言いたい人は回れ右してご退出ください。いまはその話をするときじゃないので。

じゃ、先にすすめます。

ハケ子は今年2月、都内の就職氷河期世代支援窓口を利用しました。この窓口は、支援の本格始動に先駆けて昨年2019年11月から都内2か所のハローワークに設けられたものです。

果たして、どういう対応だったか。率直に言って、思ったほどの支援を受けることはできず、ポカンとしてしまいました。「え?これだけ?え?一般求職と変わらんやんけ・・・」と。

しかも、氷河期世代限定求人はドライバー職や介護、営業、建設関係…など、就職氷河期世代限定求人は「職種まで限定」されており、氷河期世代に対する企業ニーズの現実を叩きつけられました。利用の経緯については以下でつぶやいていますのでよかったら見てみてください。

▼就職氷河期世代支援窓口へ行ってきた▼

▼就職氷河期世代支援適合者になったので窓口再訪問してきた▼

実際、こうして支援窓口を利用してみて思ったのは、支援があまりにも画一的すぎるということです。

人生いろいろ、非正規もいろいろ

記事の中に政府の支援対象者についてこう書かれています。

総額六百五十億円をかけ、今後三年間で正規雇用者を三十万人増やす目標を掲げる。対象となるのは、正規雇用を望みながら非正規で働く五十万人と家庭などの事情で求職活動ができないといった五十万人の計百万人程度だ。

あ~…昨今の氷河期世代採用、どこも狭き門ですが…なんだかこれも100万人支援対象がいるところ目標値が30万人っていうのが・・・ま、いいやこれは別の機会にしましょう。で、この引用部分で「不本意非正規労働者」と「求職活動ができない人」と支援対象が既に2種類に分かれています。

既に働いているが、やむなく非正規である人と、諸々の事情で求職活動ができない人とでは必要な支援が異なることは明らかです。しかし、現在窓口で提供される支援は一方向のみです。これが4月を境に、急にそれぞれにフィッティングするバラエティーに富んだ内容になるのでしょうか。疑問です。

また、ハケ子が気になるのが「対象となるのは、正規雇用を望みながら非正規で働く五十万人」というところです。政府はこれを一塊で考えていないだろうかと嫌な予感がするのです。この不本意非正規労働者50万人は、ただ単に「不本意非正規労働者」という集団ではありません。中身はそこそこそ細分化されるはずです。

ハケ子のザックリ分類で大分類でも簡単にこの集団はまず、【正規雇用経験があるけど非正規になった】と【正規雇用経験が無く社会に出た時から続けて非正規雇用のみ】という2つに分けられます。当然、それぞれに必要な支援は変わってきます。たとえば、職歴が非正規しかない場合は、書類審査時点で企業から目も向けてもらえません。職務経歴書指導や履歴書指導くらいでは、書類審査を突破できないのです。当事者と企業を対面で繋げないとならない。そういった細かなアシストが必要です。4月からどう支援を展開するのでしょうか。疑問です。

政府は画一的な支援から脱して、対応できるでしょうか。現在、東京都で開設されている、就職氷河期支援窓口は平日しか開いていません。申し込みをするにも平日に行かねばならず、その後の支援もまた、平日の開所時間中に予約を取って行かねばなりません。

非正規労働者とはいえ、フルタイムで仕事している人は大勢おり、非正規労働者だからといって、なかなか平日に休みを取り支援窓口へ行くことはできません。ハケ子利用時は少なくとも2回、平日に足を運ばねばならない状態でした。これで支援が受けられるのか…。そんな小さな当たり前の違いにさえ対応できていない状況で、そんな支援で、4月からどんな本格稼働となるのか。疑問・・・いや、政府に対する不信感が増していきます。

時が進むほど、年齢に連れて、どんどん人の人生は複雑になっていきます。果ては仕事以外のところも関係してきます。これが氷河期世代支援が遅きに失したと言われる所以でもあるとハケ子は思っています。氷河期非正規は「非」の付く労働者ですが「人」です。当然、歳を取ります。それに伴い、周囲を取り巻く人も同じように歳を取ります。結果、仕事以外や当事者以外のところでも問題が発生し始めます。

政府は氷河期世代の未婚を気にしていますが、結婚していれば安泰というわけでもありません。夫婦で非正規という場合も少なくありませんし、結婚をすればしたで、思わぬ夫婦双方で起きる家族リスク、きょうだいリスク(きょうだい児問題や、きょうだい児の配偶者問題も含め)を抱える可能性も高くなります。これを通り一遍の、とりあえず雇用だけ何とかすれば、という画一的支援では乗り越えることはできません。

残念ながらもう、政府が考えているような、雇用だけ画一的に型どおりに支援すればなんとかなる、という時期を氷河期世代はとうに過ぎてしまいました。そして、氷河期非正規は心まで使い潰されてしまいました。この層に、中高年に、再び目の前にニンジンをぶら下げて走れ(挑戦しろ)!と鞭を打っても、走るにはもう若さはありません。走り方も走らせ方も政府は考えねば、取り返しのつかないことになります。

ハケ子は言いたい。

どんだけ挑戦させんねん!こっちは派遣社員フルタイムで働いて年金も税金も納めとんねん!挙句、数カ月や、数年おきに次の仕事探しやら、新しい派遣先だとかに挑戦しまくりじゃぁーーーーー!もう、すでに、長い事、挑戦、しまくりじゃ!ぼけーーーーーーーーー!

長くなりそうなので…後半へ続けたいと思います。(あぁ!もうキーを打つ手が止まらない…政府も厚労省も現実を、見てくれ!きーーーー!)

後半へつづく・・・

誰がための支援か?-後半 (ハケ子の深堀)|派遣のハケ子 https://note.com/hakennohakeko/n/ne2e0ac18ad0a

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