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土地の境界 どこまで明確にすればいいのか?

大阪市の土地家屋調査士 松本です。

一般、プロ問わず、お問い合わせの多い「土地の境界 どこまですればいいのか?」についてです。

私は土地家屋調査士という仕事をしていますので、土地についての多くの相談があります。「お隣の工事で境界が紛失した」「お隣との境界を明確にしたい」「土地を売却したい」「越境物がある」と相談内容は様々です。場所も都市部もあれば畑や山林もあります。

土地家屋調査士としては出来る限り明確にする事が職責であり、どの土地であっても最大工程である地積更正等の登記手続きまで行うことが望ましいと考えます。しかし、境界問題になる事が考えにくい土地や資産価値の高くない土地で費用を掛けて、登記手続きまですることは過剰な業務ではないかと個人的には考えています。

例えば、1000万円の土地に50万円をかけて、登記する事は境界確定により資産価値が向上する事や今後のトラブル防止の観点でも意味があります。逆に50万円しかない土地で50万円かけて登記手続きを行っても50万円の資産価値は絶対に向上しませんし、トラブルが起きても数万円で解決できる可能性も高く、あくまで私見ですが、意味が少ない様に感じます。そのため、境界をどこまで明確にする手続きを行うかは場所ごとに考える必要があり、とても難しい問題です。

また、2020年4月1日に民法が改正され、これまでの「瑕疵担保責任」に変わり、新たに「契約不適合責任」が制定されました。「契約不適合責任」は従来の「瑕疵担保責任」と異なり、買主側から売主側への請求権の範囲が以前よりも広くなっています。また、今回の改正では上記と合わせて、契約解除の要件緩和など買主の救済手段が増えており、元来は難しかった買主からの契約解除の申立てや、訴訟が増えることが予測されます。まだ、前例がないため、どの程度のものが契約不適合となるかは不明確ですが、どちらにしても売主側は今まで以上に不動産について詳細を調査して、契約書へ明確に記載する必要があります。このこともあり、ベテランの不動産業者様からも境界の事や契約書の記載事項について多くのご質問を頂いています。

では具体的にどのように考えているかです。(あくまで個人的な私見で、一番問い合わせの多い売買時の見解です。)

私は最低でも境界標識の設置と境界付近の構造物の所有確認までは必要と考えています。土地売買においては境界を明示する必要がありますが、境界標識の設置がないとその明示が難しいからです。民法改正以降も仮測量図等の図面だけで確認し、売買されている業者様もいらっしゃいますが、境界標がない場合、現況に変更が生じれば現地に測量図の復元が難しくなります。早ければ数カ月や数年で復元できなくなる可能性があります。売買した土地の面積に疑義が生じた場合、測量図から復元し、協議する必要がありますが、復元できなければ協議自体が難しく、売側は自身の売買位置を明確にし続けるためにも境界標識は必要と考えています。また、境界標識設置時には基本的に隣接地所有者と立会を行いますので境界付近の構造物の所有関係も見直す事が出来、取引後のトラブルの防止にも役立ちます。

それ以降の手続きについては土地の状況によって判断し、ご提案しています。例えば、「面積差が大きい」や「セットバックが発生する」、「隣接地との越境物がある」、「境界位置に疑義がある」「土地価格が高い」等の課題がある場合は境界標の設置だけでなく、筆界確認書や登記手続きまで進める事をご提案しています。

その為、私は最低限と推奨の2つのプランをお見積りしてご提案する事が多いです。価格差とメリット、デメリットをご理解頂き、後々問題が起きないようにしつつ、無駄な費用を掛けないご提案をするようにしています。

最後に。自分でいうのもなんですが、境界問題についてはまずは土地家屋調査士という専門家にご相談ください。土地には見えない問題が多くあり、その時は問題ないことでも、ちょっとした事で問題になることがあります。土地家屋調査士は他の士業と違い、その問題解決に特化した資格者であり、付随する知識も豊富です。是非、お困りの際はご活用ください。


境界確定、測量、登記業務のご不明点があればお気軽にご相談ください。

〒536-0023          
大阪市城東区東中浜三丁目15番10号
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株式会社マツモト/土地家屋調査士松本悟事務所

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