詩】「早い者勝ち」

もう賞味期限切れの成功法則で
待ち続ける者とは裏腹に
仕掛け人たちは目まぐるしく動く動く

金融システムによりお金は無限
しかし人間のエネルギーは有限だ
疲れてはいないかな
脳をいじめ抜いてはいないかな

午前3時  台所のテーブルには
どう見ても人数分足りない上等なアップルパイがある

誰かが我慢しなくてはならない

大概はそれがいつも自分なのは傷付く者の悲しみを知るからだし譲る喜びも知るからだ
また神よ私を見出せと傲慢な取引をするからだし
そのくせ別に腹が減っていないからだ
しかし食い尽くそうと手を伸ばす者たちの傍らでは惜しくもなる

そうして迷っている部屋の隣ではすでに
そのパイをたらふく食べた者たちがベッドを選んで
心地よく眠っている


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