詩)帰路

子供の頃に向かいの広場で

遊び相手の姿やボールが見えなくなるまで遊んだ記憶

今想えば まだ少年の瞳が目玉

足元の木陰の石も躱して走り回る

もう帰ろうと 大人が呆れるぐらい

度々この目は活躍した


今はもう体感することの出来ない解像度で

かつての私は陰のなかの影を見分けていたはず

そのコントラストの記憶は宝玉となり

取り出すのは 決まって夕陽が沈む頃

夕食(ゆうげ)前の心地よい疲労感が想起され

頬をくすぐられるような感覚に笑ってしまうこともある


また明日と約束して各々の帰路に着く子供たち

街灯が点いて間も無く

まだもう少し夜道は明るい


完)帰路



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?