シン・仮面ライダーを観た一般成人女性

こんばんは。墓薙です。
本や映画の感想をまとめるnoteを始めようかな~と考えていた今日この頃。タイミングよくシン・仮面ライダーを観てきたので勢いのまま感想をつらつら書いていこうと思います。

まず前提として私は
※仮面ライダーは平成を多少見て育った
※初期仮面ライダーの知識はほぼない
※エヴァは新劇場版を見た
※シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンは観た
という一般成人女性です。

そしてこれから書く内容は映画のネタバレをがっつり含みます。また、自分なりに感じた賛否はどちらも書きます。全肯定はしません。
この感想を読んでよく物を知っている古参のファンの方が「いや、あれは〇〇のオマージュだよw」「これが味なのにわかってないなぁ~w」等々言いたくなるかもわかりませんが、全てうるせーーーーー!!! 知らねーーーーーーーーー!!! で行かせていただこうと思っています。

ご了承ください。

さてさて前置きが長くなったので書いていきましょう。

〇物語の始まり

いきなりバイクの二人乗りから始まる物語。後ろに乗っていた可愛い女の子は投げ出され、どう見ても怪人な敵に両目を潰されそうになります。
そこに颯爽と現れる仮面ライダー。くるっと回転して地面に降り立つ姿はまさしく王道のライダーそのものでした。かっこいい!
……と言っている間もなくどっぱんどっぱん血祭りの大騒ぎ。ここでもうやってらぁ!!! と大興奮しました。流石シン・仮面ライダー。マジで何の容赦もない。

どうにかその場を脱して廃屋で鏡を見ながら震える仮面ライダー。彼はグローブを脱ぎ仮面を剥ぎ、自分の身体が人外になっていることを知ります。
これねぇ~~めっちゃ良かった。私はこういう身体がじわじわ人外になっていく系が結構好きなので、既に人間を離れ始めているあの感じがすごい好きです。仮面を剥いだら既に身体と一体化していて顔面の肉がえぐれるとか、そこまで行かなくて安心したんですけど。

そうして緑川博士とその娘ルリ子から、自分が人造人間にさせられたことを聞かされる、頭脳明晰・スポーツ万能・コミュ障ニートの本郷猛。ここで本郷さんは結構とんでもない話を聞かされたはずなんだけど、持ち前のコミュ障を発揮しているのか言葉少なに困惑し続けていた。しかしゆっくり話し合っている時間もなく緑川博士は早々に殺されてしまいます。かくして本郷猛と緑川ルリ子の戦いが幕を明けたのでした。

〇映画全体の雰囲気、言いたいこと

この映画、戦闘シーン以外は全体的に起伏に乏しいんですよね。
だだっ広い場所で本郷猛・ルリ子・政府の人or敵、がポツンと佇んでいるシーンが多い。その上登場人物にテンション高めの人が少ないので、皆淡々と喋る、あるいはボソボソ喋る。ついでにBGMもない。すごい静か。私はこういう静かな映画は元々好きな方なので別にいいっちゃいいんですが、シン・ゴジラのようなスピード感やシン・ウルトラマンのコメディ感すらなかったので、有り体に言ってしまうなら単調でした。
でもいいんです。戦闘シーンさえ熱く盛り上がればそれ以外がどんなに静かでも。緩急があるなら緩の部分がどれだけ緩んでいてもいい。

ただし私はその戦闘シーンについて不満がある!!!

殺陣を!!!!!!! もっと見たかった!!!!!!!!

いやオマージュはいいんですよ、多分オマージュのシーンなんだろうな~って部分は別にいい。知らなくても見ていてオッてなれるし面白いので。そしてボコボコに殴りまくって血が出まくるのもいい。ライダーキックは何度やったっていい。決めポーズは何度決めたってかっこいいです。

ただねぇ!! あのカメラワーク何ですか!?!!???

ひたすら顔が映るか殴っている手元が映るか血まみれの敵が映るかじゃないですか!! 私はもっとこう、どう殴ってどう避けて身体をどう使っているかの肉弾戦がもっとじっくり見たいんですよ!! どういう戦闘スタイルの敵で、それに対してどう向かっていくかの攻防が見たい!! そんな顔やら手やらばっかり映してたら全身の動きが見えないじゃないですか!! 正直何やってるかよくわかんねぇ!! カメラをもっと引いてほしい!!! もっとよく見せて!!!
1号2号の空中戦でようやく全身が映ったと思いきやCG対応でボコボコ殴り合ってるだけで思ってたんと違うし、もっとこう……もっとこう……あるじゃん!!

サソリオーグ、ハチオーグ、カマキリオーグの戦闘シーンにしたって、せっかく手に武器を持っていて超かっこいいのに、なんかこう……攻撃を当てる瞬間にパッパとカメラが切り替わるせいで攻撃の連続性が見えなくて、せっかくいい動きをしているのにそれが全然活かされる魅せ方をしていないから戦闘シーンに入り込めない!!!! ハチオーグなんて死ぬほどかっこいい刀の構え方してこれからがっつり戦闘するぞって雰囲気出してたのに碌な見せ場もなくものの一分くらいで終わるし!! カマキリなんかあんなかっこいいナイフの二刀流の構えしておいてあれが活かされるシーンあった!!?? もう言い出したらキリがない!!!

あの戦闘シーンの魅せ方すら昭和ライダーを意識してるんだよとか言われたらじゃあ私はもう知りませんよ!!!! それはもう私が平成ライダーに慣れきってしまったが故の弊害だと思います。ええ。というかそうだとしてもサソリオーグの戦闘シーンはライダーの出番なかったんだからあの一瞬とはいえもっといい魅せ方あったんじゃないのか!?? 本人のキャラだけじゃなくてさぁ!!

まぁ一旦落ち着くとして……私はライダーやスーパー戦隊を見る上で、スーツアクターさんの戦闘シーンとかカメラワークとか、そういうのを見るのがすごく好きで……たとえシン・仮面ライダーの中であれがわざとやっていたんだとしても、その演出を楽しみ切れなかったことが非常に残念です。

本作のラスボス、イチローさんとの闘い。イチローさんが圧倒的に強いこと、バイク君が突っ込んできて玉座がつぶれてしまったことは分かったんですが、イチローさんがあそこまで疲弊する理由ってなんかありましたっけ……あの玉座がつぶれたらイチローさんにもダメージ入るとかありましたっけ? なんか、見落としたのか理解してないのか忘れてるのかもしれないですがいつの間にかイチローさんもボロボロになっててなんでだ……? と思ってました。
ただ、最後の方で本郷とイチローさんの掴み合いになっていたところ。もうラスボス戦にあるまじき泥臭さでしたが、あれはむしろ良かったです。化け物になりながらも人間対人間って感じですごく良かった。
あとシーンは前後しちゃうんですが1号2号ライダーが揃うところは本当にかっこよかったし、「すまない、一文字君」→「ありがとう、一文字君」→「分かった。一文字」ってどんどん変えていくところ、何度も名前を呼び合ってあの短い時間の中で信頼を築いていくところは好きでした。
1号2号がゆっくりイチローさんに向かって歩いていくところで「あ、一文字君の方が本郷より背ぇ高いんだな……」って密かに思ったりしました。

あと、あの2人が並んでこちらを向いているシーンで、赤いマフラーが敢えて身体の前の方に垂れているのもいいですよね。亡くなったルリ子ちゃんの意志が受け継がれていることが強調されていて。

〇ショッカーって何だったの?

なんかヤバ組織だとされていたショッカー。ショッカーくらいは私でも聞いたことはあったけど、実際どうヤバいのかは一応作中で説明されていたものの、この映画単体の中ではちょっと分かりづらかったなと思います。
というのも、前述した通りこの映画モブが極端に少ない。シン・ゴジラやシン・ウルトラマンの時のように極端にデカい化け物が人類を襲うのであれば非常に分かりやすかったんですが、今作ではその辺の一般人を襲う描写すら少なくて、あっても戦闘に関係ないか、全部CGか、既に死んでるかだったので、世間に対してどう悪影響が及ぶか視覚的にピンとこなかったです。
一番わかりやすかったのはハチオーグで徐々に一般人が増えていくところかな。あのシーンはホラー映画じみててすごく好きです。(というか全編通してハチオーグのシーンが全部好きだった。)

あとの敵たちは分かりやすく怪物じみた見た目で、なんかヤバそうな研究だったり思想だったりをしているから倒しとこうね~くらいのテンションで、切迫感や危機感は控えめだったかな……と感じました。主人公の本郷猛は正義のヒーローとか人類を守る力を持つだとか言っていたけど、倒すべき敵の「敵像が少しぼやっとしている」気がして、そのせいで正義の味方感が少なかったというか。

しかし考えてみると、ショッカーに所属している敵たちには各々思想があるんですよね。「あなた(人間)を殺すことで私を幸せにする」だとか「統一された意思こそが幸せへの道筋」だとか「魂だけの存在となる場所へ全人類を導くことで全ての人間が分かり合える」だとか。蝙蝠おじさんはなんだっけ。忘れた。あとカマキリ君は蜘蛛さん大好きだったことしか覚えてないから知らない。

つまりこの敵が一般人を襲う敵らしく見えない、ヒーローが正義のヒーローらしく見えない、というのはこの映画において意図的にやっている。
そうでなければそもそも開幕から血まみれどっぱんどっぱんで敵ぶち殺さないですよね……あれやってることバケモンですもん……。

そして、敵サイド主人公サイドの距離感がそもそも曖昧で、ルリ子は組織を裏切った身なのに単身で乗り込んで行くと「相変わらずコートがお似合いですね」とか「よく来たわね、ルリルリ」とか親戚の末っ子が来たみたいなノリで受け入れられてるし。本郷だって同じオーグ仲間だから殺したくないやら見逃してやるから帰れやら言われるし。敵と味方と分けるにしては妙にフランクなんですよ。そういう端々からこの物語が勧善懲悪モノではないなって雰囲気が感じられますね。

何が善か。何が悪か。そして何が「幸せ」か。それはこの映画を通して、口下手だった本郷猛とともに、観客たちが考えていくことなのかもな。
と思いました。

〇浜辺美波が可愛い

浜辺美波がずっと可愛い。一生眺めていられるくらい可愛い。
黒髪ボブもキリッとした大きな瞳も黒ハイネックも大きなコートも全部可愛い。
目が青く光るの最高。黒髪青目って最高じゃない??
食事は栄養補給の手段だとか言いながらも敵に襲われそうになったら捨てることなく大慌てで掻き込むのも可愛い。(私は食事を粗末にするシーンが結構苦手なので、あそこで捨てずに食べきってくれて嬉しかったです。)
蝙蝠おじさんのところに来てカメラに写ってニコニコで手ぇ振ってるのすっげぇ可愛い。
「友達に一番近い」と言っていたひろみちゃんとお話するシーン一生見ていたかった。黄色をモチーフにしているひろみちゃんとルリ子ちゃん、並ぶとすごく絵になるんですよ。もしかしてそのルリ子ちゃんの黄色っぽいコートってひろみちゃんが選んだ奴だったりしない……???? 私の関係性オタク心がざわつきました。
「私を始末しに来たの?」って聞くひろみちゃん、結構ヤバい会話しているはずなのにノリが世間話で、このショッカーっていう組織で育ってきた二人の独特な関係性が現れていてすごく良かった。
そしてひろみちゃんと話している間のルリ子ちゃんが始終眉をひそめていて、この子にそんな顔させるくらいには大事な存在なんだろうな……と思いました。
戦闘シーンになると、ひろみちゃんはルリ子ちゃんを泣かせたかった、っていうだいぶ倒錯した愛を露わにしてくれて、まぁこれが最高だったんですが、その「泣かせたい」って願望はひろみちゃんが死ぬことによって皮肉にも叶えられてしまった、っていうのがまた……良い……ですよね……。
この二人の同人誌ないんですか……? って真剣に思いました。
この後のシーンで新しい隠れ家が何もなさ過ぎて珍しくぶち切れてるシーンも可愛かった。シャワー浴びたい! って言ってるシーンはちょっとだけシン・ウルトラマンを彷彿とさせた。
あのあと用意してもらった部屋着みたいなのに着替えたのも可愛かった。ていうか可愛いから何着ても似合うよ。
まさかあの部屋着っぽいの着てパソコンに向き合ってるシーンがラストに繋がるとは思わなかったな……。

「マフラーが似合っていてよかった」っていうの、ラストにかけて3回も言うんですよね。
ルリ子ちゃんが死ぬ間際のシーン、遺言の録画の1度目、2度目。
あれはもう、本当にそう思っていたんだな……と同時に、何故そこまでマフラーに拘っていたのか……とも思うんですが。
色々意図はあるだろうし、深く汲み取れないんですが、あのマフラー自体がライダー(バイクに乗る人、そこから転じて正義を守ろうとする人)がつけるべきものだったから、貴方がそれに見合う人でよかった、っていうことかなぁ。
あとはルリ子ちゃんにとって「初めて誰かのためを思ってあげたものだから」っていうのもあるかなって個人的には思っています。

〇そろそろまとめ

本当はまだまだ思うところたくさんあるんですが、(バイクのサイクロン君が自立して動いてるの超かわいいとか)流石に体力が切れてきたので、いったんこの辺で締めようと思います。

この映画が面白かったか、楽しかったか。好きだったか。

簡単に正直に言ってしまうなら、面白さは微妙だった。好きかどうかも微妙だった。ただしめちゃくちゃ楽しかった。そんな感じです。
まず間違いなく一般受けする作品ではない。刺さる層には刺さると思いますがこれで刺さらなかったからといって見た側が悪いわけではない。そんな気がします。
私自身、不満だった点は挙げられますが良かった点もたくさん挙げられます。総括するとオォン……となりますが、味わい深いものを観たなぁって気持ちになる。不思議な映画だね、これは。

あまりまともに推敲していないし、勢いのまま書いているので、解釈違いなところとか的外れなところは多々あるかもしれませんが、まぁ感想のひとつとして捉えていただければなと思います。

ここまで読んでくださった方、長々とお付き合いいただきありがとうございました。

以上!




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