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恐怖を受け入れろ ― パニック障害対処法5選
お久しぶりです。
最近何をしていたのかと言いますと、表題の通りです。
パニック障害だと公表している芸能人の方も多く、言葉ぐらいは聞いたことがあるでしょうか。
しかし実際になってみないと、この恐怖と焦燥は分からないものですね。
私の主な症状は動悸、息苦しさ、発汗、非現実感です。
端的に言ってめっちゃ辛かったです。自分が自分でないみたいでした。
過去形になっているのは発症して一年以上経ち、幾分症状が落ち着いてきたからです。
未だに近所のスーパーに行くのですら脈が速くなるという困った状態であるのは変わらないのですが。
この記事は、今まさに症状のピークにいて、藁にもすがる思いで対処法を探しているかもしれない方のために書きました。
効果あったかも、と感じた方法を共有しますので、まだ試していない方は試してみるのもよいと思います。
記事を漁ってないで病院に行った方がいい? そんなことは分かってます。
他の人がどういう状況なのか、治るものなのか、どうしたら楽になれるのか、あの時私は知りたかったのです。
パニック障害とは
突然理由もなく激しい不安に襲われて、心臓がドキドキする、めまいがしてふらふらする、呼吸が苦しくなるといった状態となり、場合によっては死んでしまうのではないかという恐怖を覚えることもあります。このような発作的な不安や体の異常な反応は「パニック発作」と呼ばれており、パニック発作がくりかえされる病気をパニック障害と呼んでいます。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
私の場合は精神科で診断名を確定してもらったわけではなく、厳密にはパニック障害と言いきれるものではありませんが、症状がビタビタに合致したのがこれでした。
私が受診したのは循環器科で、レントゲン→心電図→血液検査を経て最終的には「精神的なものだろうね~」という感じで薬を貰いました。
薬については後述します。
発症した場所
好きか嫌いかで言えば、歯医者は好きでした。
下の歯の親知らずをノミとトンカチで砕いて抜かれて、痛くて不貞寝したこともあったけど、歯医者に対して怖いとかそういう感情はありませんでした。
あの日までは。
2023年4月。
奥歯の銀歯が取れたので歯医者に行き、ついでに虫歯になりかけた所の処置で通うことになったある日。
いつものように半分眠りかけているようなリラックス状態だったにもかかわらず、「なんか、嫌な感じがする」と思ったとき、それは起こりました。
動悸です。それはもうバコバコ尋常でないぐらい、数字で言えば脈拍160を超えるぐらいの動悸でした。(異常を察した医者に心電図された)
ちなみに脈拍の正常値は60~100と言われています。
心臓の音が聞こえるぐらいドキドキしているというのに、すぐに起き上がれもせず口は開けていなければならず、大混乱です。
意味が分かりませんでした。分からないから恐ろしい。
この時、「自律神経がちょっと暴走したんだな」とでも思って終われば、今こんなことにはなっていなかったと思います。
予期不安との戦い
パニック障害では、パニック発作になったときの苦しさや怖さから、「また発作が起きたらどうしよう」と心配になることが多く、これを「予期不安」といいます。予期不安を感じて、電車や人混みを避ける、頼れる人がいない状況や一人で出かけることを避ける、あるいはエレベーターなど逃げられない場所を避けるようになることがあります。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
まさにこれです。
「またなったら、どうしよう」
これは恐ろしい、本当に恐ろしい言葉です。忘れたい言葉No.1です。
歯医者はその後も続けて5回行きましたが、そのたびに脈拍は150前後を叩き出し、思考がぐるぐるしてくるのを手の甲に爪を立てて耐えるというのを繰り返していました。
歯医者が好きだった私はこの時いなくなってしまいました。
ただの歯医者嫌いで終われればよかったのですが、この症状はほかの病院や車の運転時、近所の店に行くこと、そして自宅でも、と最悪な広がりを見せました。
他の病院の待合室に座る。「なったらどうしよう」→発症
スーパーのレジに並ぶ。「なったらどうしよう」→発症
家でご飯を食べる。「なったらどうしよう」→発症
家で何もしてないとき。「なったらどうしよう」→発症
もう最悪です。
「なったらどうしよう」→発症の無限ループが襲ってきます。
逃げる場所なんてないのにどこかに逃げたくなりました。
ここまでくるとお分かりかと思いますが、「病院に行く」がもうハードルが高い状態なんです。
家でもなるのに、外出なんてしたくない。
幸いなことにちょうど無職だった私は、パニック障害に関する本や記事をいろいろ読みました。
そもそものきっかけになった歯医者に通っていたのは3月で会社を辞めていて時間があったからなので、幸いもなにもないですが。
就活中だったんです。それが自律神経の乱れに繋がったんでしょうかね。今となっては分かりません。
仕事を辞めたらどこそこに行って~というワクワクした計画は砕け散り、騙し騙し日々を消化して最初に症状が出てから四か月。
8月になっていました。
その頃は一日中脈拍が100を超えているような状態でした。
眠っている時も動悸がして起き、目を瞑ればミトコンドリアが蠢くような模様が視界いっぱいに広がり、息苦しくて起きて呼吸の方法が分からない。
とにかく辛かった。早く病院に行け。本当にそう。
効果があったかもしれない方法① ― 動悸編
循環器科に行く
効果があったかもというか効果はありました。
精神科に行かなかったのは忌避感があったとかではなく、単純に近所の病院が新規の患者を受け付けていなかったからです。
極力遠くには行きたくなかったので仕方がありません。
循環器科では胸部レントゲンで心臓の大きさを調べ、心電図で不整脈などを、血液検査で甲状腺などを調べます。
結果、特に異常は見られませんでした。
身体は元気なことが分かり、精神的な「大丈夫」の根拠を一つ手に入れることができました。
とはいえ動悸は出続けていますので、私は何か薬があれば、とお願いしました。
そこで処方された薬が「β遮断薬(βブロッカー)」です。
β遮断薬(βブロッカー)を飲む
β遮断薬は、主に心臓のβ受容体(βアドレナリン受容体)に作用して、交感神経系の刺激を抑制します。これにより、心臓の過剰な刺激を減少させ、心拍数を抑え、血圧を下げる効果があります。
これは脳みそと心臓を切り離してくれる薬っぽいです。
飲み始めると、すぐに効果がありました。
あんなに主張が激しかった脈拍が70前後まで下がったのです。
心臓が大人しくなったおかげか、夜眠れるようになりました。
薬を飲んで挑んだ歯医者では、息苦しさや非現実感はあったものの、脈拍は落ち着いていてだいぶ楽になりました。
ひと月後、経過を報告すると「薬をやめてみてもよい」とのことだったので飲むのをやめました。
この薬を継続して飲んでいたのは一か月間だけでした。
飲まなくなってからもお守りとして持ち歩いています。
動悸がしてもこれを飲めば収まる、という安心感が担保されることにより、日常生活における「大丈夫」が補強されました。
今は歯医者に行く時だけ飲むようにしています。
飲まなくても耐えられるかもしれませんが、やっぱりまだ怖いので。
歯医者に行きすぎですか? 三か月ごとに定期健診があるんです。
こんなに辛いのに行くのは辞めないの、我ながら偉いと思います。
効果があったかもしれない方法② ― 息苦しさ編
呼吸法を試す
私の症状に過呼吸はありませんが、呼吸の仕方が分からなくなって息苦しくなる、というのがありました。
そこで試してみたのが「ボックス呼吸」です。
この呼吸法は「ぱやぱやくん」さんの本「飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る (扶桑社BOOKS)」で知りました。
やり方はツイートしてくださっていたので引用させていただきます。
米軍ではパニックになったときに気持ちを落ち着かせるために【Box Breathing】という呼吸法を取り入れてます。これは4秒息を吸う→4秒止める→4秒息を吐く→4秒止める...をグルグル繰り返す方法です。特殊部隊でも使われているので、日常でストレスや不安を感じた時に試してみてください。 pic.twitter.com/gykqkObwEd
— ぱやぱやくん (@paya_paya_kun) July 7, 2021
全部4秒なので覚えやすいですよね。
無心で繰り返しているうちに、呼吸の仕方を思い出せました。
呼吸法はいろいろあるので、ご自分に合うものを探してみてください。
効果があったかもしれない方法③ ― 非現実感編
非現実感とは、「起きているのか眠っているのかわからない」「意識飛びそう」「現実かわからない」というような諸々を、私が総称して呼んでいる症状です。
主に歯医者でなっていました。
仰向けで目に布をかけられていますが、それを貫通するほどに眩しい光をあてられることによって、視界が真っ白でなんだか頭がぼんやりした状態になりませんか。
手足の指を認識する
「自分」がどこかに行ってしまうのが怖いので、私は自分を認識するために指を数えることにしました。
左手の親指……左手のひとさし指……と、少し指先に力を入れながら、順番に繰り返していくだけです。
足指に関しては曲げ伸ばしを少しするだけでも、自分の端を認識できてよかった気がします。
その他、掌を握ってみる、足首を回してみるなど、動ける範囲で身体を少しでも動かすことで意識をそっちに向けることができます。
似たような症状の方は試してみてください。
効果があったかもしれない方法④ ― 体質改善編
原因を知る
そもそもパニック障害の原因はなんでしょうか?
それは「脳内ホルモンの乱れ」らしいです。
パニック障害は、ストレス性の不安症や神経症、あるいは心の病気とも違います。最近の研究などから、パニック障害の原因は、脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)のバランスの乱れであることがわかってきています。
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/43.html
パニック障害が起こる原因は、全てが解明されているわけではありません。ここでは詳しくは述べませんが、いくつかの脳内神経伝達物質が鍵を握っていることは分かっています。
https://www.pref.kyoto.jp/health/health/health06_d.html
じゃあ脳内ホルモンはどうやったら整うのかという話になりますが、意外なことに腸を整えるといいらしいんですよね。
腸活する
腸は第二の脳ということで、整腸剤を飲むようになりました。
去年の8月から飲み始めたのでかれこれ一年経ちます。
今症状が割と落ち着いているということは、効いているということではないでしょうか。
最初「新ビオフェルミンS」を飲んでいましたが、私の体質には合わなかったようで途中から「ビオスリーHi錠」に変えました。
腸内細菌の餌になる発酵性食物繊維も一緒に取るといいらしいので、ケロッグの「オールブラン ブランリッチ」に牛乳をかけて朝ご飯にしています。
甘さ控えめなので甘いものを朝食として食べたくないタイプの人におすすめです。
散歩する
運動不足が不調につながるというのは皆さんご存じの通りです。
運動不足だから心臓くんもすぐドキドキするんです。ちょっとは鍛えてあげないといけません。
鍛えるぞ!という気持ちで「インターバル速歩」を試しています。
詳細は以下のページをご覧ください。
散歩中に倒れたらどうしよう……という気持ちもありながら、とりあえず歩くことにしました。
これは今でもうっすら思いながら散歩しているのですが、実際には一度も倒れたことはないので大丈夫だろうと思えるようになりました。
私は適正体重なので特にダイエットはしていませんが、それでも体重が一キロ落ちました。
効果があったかもしれない方法⑤ ― メモ編
行動した結果をメモする
今まで何も考えずにできていたことが、症状のピーク時には全然できなくなっていました。
なんならテレビの緊急速報の音も激しい雨音も苦手でしたし、ドラマとか映画でよくある「ドックン ドックン」という心臓の効果音表現も嫌で嫌でたまりませんでした。
すぐ出られない壁際の席も嫌でした。
あらゆることが恐怖に繋がり、全方向に怯えている状態に近いです。
そんな状態ですので、大丈夫なものが全然ありませんでした。
それでも「β遮断薬」を飲んでいた一か月間でだいぶマシになりました。
お薬の力、すごい。
マシになったところで、少しずつ「大丈夫」なものをかき集めることにしました。
行動した結果をメモするようにしたのです。
〇月〇日 散歩できた。大丈夫だった。
〇月〇日 スーパーに行けた。大丈夫だった。
〇月〇日 運転して片道45分の場所に行けた。大丈夫だった。
〇月〇日 ラーメン屋に行けた。大丈夫だった。
〇月〇日 ガソリン入れられた。洗車できた。大丈夫だった。
〇月〇日 歯医者に行けた。意外と大丈夫だった。
大丈夫と言いながらドキドキしたり逃げたくなったりはしているのですが、ピーク時よりは全然大丈夫、という気持ちです。
自分の結果としての大丈夫が貯まっていくと、意外といけるかもしれん、という気持ちが徐々に育ってきます。
これは今も書いていて、スーパーに行けた!よかった~!という喜びを毎回噛みしめています。
いつか、前みたいになんでもないような気分で行けるようになりたいです。
不安が襲ってきたら読むメモを作る
思考は思考でしかなく、思考は移りゆくものではありますが、それでも不安が襲ってきて落ち着かなくなって動悸がすることがあります。
そんなとき、自分で作ったメモを見るのが有効でした。
・どれだけ動悸がしても今まで切り抜けられたから大丈夫
・パニック発作で死ぬことはない
・ワクワクしてきたと言い換えてみる
・恐怖を受け入れる
・自分の過去のことすら忘れられるなら、この症状もそのうち忘れる
・怖いのは悪いことではない
最後のは葬送のフリーレンでアイゼンが言っていた「怖がることは悪いことではない」から来てるやつです。
いい言葉だな~と思いました。
心に響いた言葉はメモっておくのがおすすめです。
おわりに
先日靴を買いに行ったんですが、私は自分の靴のサイズを23.5だと思ったんです。
で、何度もそのサイズを試しているのにきつくて履けなかったりするわけです。
なのでワンサイズあげて24を履いてみて、足大きくなったかな~とか思っていたんですが。
私の足、24.5だったみたいです。
この話で恐ろしいのは、
・発症前に靴を買いに行ったときは24.5を買っていた。
・小学生の頃から靴のサイズは変わっていない。
・にもかかわらず、家族に指摘されるまで23.5が正しいと思い込んでいた。
・しかも今もちょっと納得してない。(24.5である事実は変わらないのに)
というところです。
忘れますか? 毎日履いてる自分の靴のサイズですよ。
まだ30代なんですけど。
何が言いたいのかというと、記憶がおかしくなっていることに自分では気づいていなかったのが怖い、ということです。
ストレスで記憶障害がおこるらしいじゃないですか。
私の頭の中は他にもいろいろおかしくなっているのかもしれません。
でも自分ではわからないんです。怖いですね。
パニック障害になる前となった後の私は明確に違う、というのを叩きつけられたエピソードでした。
パニック障害、治るといいですよね。
私も本当にそう思っています。
同じように苦しんでいる方も、いつかきっとマシになりますので、一緒に頑張っていきましょう。
病院にまだ行っていない方は、悪化する前に行ってください。
恐怖を受け入れろ。
怖いのは、悪いことではない。
それでは、また。
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