INTJの苦悩と解決策
最近K-POP界内の流行で日本にも擡頭してきたMyers-Briggs Type IndicatorことMBTI。本稿では、その中で人間社会で生き抜くことが特に容易ではないとされているIN型の4タイプのうちの一つであるINTJと診断された筆者がこのINTJというタイプに属する人間がなぜ苦悩を感じるのか、そして何をすれば苦悩を軽減できるかを探っていこうと思う。その苦悩の理由は主に以下の5点に集約されると私は考えている。
理由1
INTJが苦悩を感じる一つ目の理由としては、彼らの人口が極端に少ないということが挙げられる。日本におけINTJの比率は1.9%とされており(2011)、これは他のどのタイプよりも低い値となっている。またINTJの女性はとても珍しく、その割合は0.8%まで下がるらしい。確かに私も1、2人しかINTJと診断された女性を知らない。
基本的にINTJやPは自律性がある性格であるため、ESFPやESTPなどのように他人と協調して行動するということは必要としないことがご存じだろう。彼らのFeを顧みない論理的なアプローチによって、SFが大多数を占める現代社会においては嫌われることが多々ある。また、保有するNi及びTeによってINTJの人間は自身が辿り着いた理論や推論に絶対的な自信を持っているものの、これらをシェアすると、多くの場合感情表現をすることしか脳がない輩に感情的な猛批判を浴びることになる。このことはINTJに多大なるストレスを与え、精神的に疲弊させてしまう。
解決策
INTJの筆者は積極的に人とは話さない(話すとそもそも疲労が溜まって酷い頭痛がする)が、どうしても他人と話す必要がある際は出来るだけNT型、特にINTPやENTPなどのような自身と性格が似通っている人たちと会話をすることにしている。実際、私が話していてあまり苦に感じないなと直観で感じた人たちは十中八九NT型で残りはTにほど近いNFだったことを後に知った。しかしながら、日本、ひいては世界中を探してもNT型の割合は総じて低く、全人口のたった10%を占めるに過ぎない。SFが50%ほどを占めるのとは対照的だ。このため、このように自分と似たタイプを探すことは困難を極めるだろう。筆者は何度も「話さな過ぎていつか話すことが出来なくなるのではないか」という心配も抱えたことさえある。このため、筆者はMBTIを深く知る前だったが学校で自分と似た性格の人たちが集まりそうな部活(ディベート)に身を置くこととした。最近知った事だが、この部活に参加する人たちはNFの1人を除いて全員がNT型だったことは些か衝撃的で、自身の直観の強さに驚いた。
少し脇道に逸れたが、要するに自身の診断されたMBTIと同じタイプを持つ人か、鏡像関係にあたるタイプを持つ人、INTJだとENTP、或いは疑似同一関係にあたるタイプを持つ人、INTJだとINTPなどは比較的価値観が合いやすく、ストレスを感じることも少ない。一つ注意していただきたいのは自身と外向内向だけが異なるタイプ、INTJだとENTJは、あまり合わない可能性もあることだ。何故ならこの二つのタイプはEとIしか差異がないものの、その内向性と外向性の差がかなり大きいからだ。内向型タイプは慎重に行動し活動量も減らそうとし、一方の外向型タイプの方は活動的であろうとする。この際、互いに相手のことが理解できず、意見が合わず衝突するといったことなどが往々にして起こりがちである。だが、無論この二つのタイプの価値観が合う可能性も大いにある。それぞれの第一機能と第三機能が相手の第二機能、第四機能と同じ、つまり得意不得意が似通っているからだ。
理由2
続いての理由はINTJが弩がつくほどのコミュ障であることに起因する。多くのNT型は前述したように自律性がとても高く、専門性や独創性を以て問題を解決することの秀でている。INTJはそれに加えてJ型の特性により極めて自律性が高い性格となっている。だが、その自律性の高さにより、基本的には何事も自分1人で完結出来てしまう超ソロプレイヤーのため、人を全く当てしないどころか信用さえもしていない。そのため自ら周囲から孤立するような環境を形成してしまうのである。
また、INTPにも共通するが、INTJの
人たちの中にはより良い暮らしや社会的地位・成功といった普遍的な動機付けによって刺激されにくい面を持っていることがままある。このことから、INTJはNi-Teによって、上手くハマれば世間が羨むような地位や財産を手に出来る資質を持ち合わせているものの、コミュ力の不足による人望のなさや隠遁思想によって、夏目漱石の『こころ』における先生のような高等遊民になってしまうこともあるだろう。
解決策
これを解決するのはかなり難しいが、後述するINTJの第二機能であるTe、若しくはINTJが持ち合わせている未来志向を用いるのがいいだろう。Te、即ち外向的思考には権力志向があるため、社会的な権力を得るために自信を奮い立たせる役割がある。この第二機能を活用することによってINTPより多少はマシになることもあるだろう。Teが少し弱い著者のようなINTJには二つ目の未来志向の方が合うだろう。これは長期的視野を持つNiや客観性のあるNeなどと用いる手法だ。これらの直観を使って「悩んでる暇があるなら将来に役に立つことをした方がいい」という思考に辿り着くことだろう。
理由3
三つ目の理由は先述した未来志向である点にある。MBTIの中でもNT型は未来志向であり、Niを主な機能に持つINTJやENTJになるとその傾向はより顕著になる。彼らは未来志向によって長期的な視野を持ち、物事を俯瞰的に見ることができるという特徴があるが、一方で未来を重視するあまり現在を全くと言っていいほど楽しめないのである。他のタイプであれば少しくらいはぼーっとする時間があるものだが、INTJはその時間さえも完全なる無駄であると考えてしまうきらいがある。このため、休息を取るという概念が根本から欠如していることもあり、鋭い目つき(所謂殺意の目)でずっと何かしらのことについて調べたり考えたりしている。幾らかのINTJはこの時間を自身の悩みを考える機会として利用することがあるが、IN型の常として非常に内省的で、加えてNiによって他人を信用していないことでストレスの捌け口が自分自身となってしまう。このため、この思考に一度陥ってしまうとなかなか抜け出すのが難しくなってしまう。
解決策
これを解決するのは非常に難しい。だが方法がないわけではない。一時的な手法ではあるが、私がよく使うのは将来に役に立ちそうで且つ自分の好きなことをすることである。例としては本を読むなどが挙げられる。このことによってINTJの未来志向という点を潰すことなくストレスを発散することができるようになる。
理由4
4つ目はその協調性のなさである。INTJは第七機能、即ちトリックスターにFe、外向的感覚を持っている。このことから他人の感情に鈍感になりやすく、協調性がないとされる。幾つかのサイトでは、「空気は読めるけど読まない」と説明されているが、INTJの実状は「全然読めないし、全く読もうとも思わない」であろう。またTeを第二機能として持っているため言葉遣いが非常に直接的なものとなってしまいやすく、JTCなどのSF型が跋扈する社会では相当な生きづらさを感じることが多いだろう。
解決策
これを解決する策としてはある程度の学歴や資格を持って弁護士や医師などの士師業やコンサル、大学などのNT(J)型がより多い職業に就くことが良いと思われる。なぜならこれらの職は自身の裁量が多く、INTJの自律性という面を存分に発揮できる職場だからである。一方で体育会系の業界や幼稚園、接客系の仕事に従事するとその将来はかなり悲惨なものとなる。幼稚園や接客系はSFの独擅場だし協調性が非常に求められる。体育会系はSTが強くINTJには合わない。他にも小中学校はNFの側面が強い。事務作業などもSTJの側面が強くNTには裁量のないマニュアル仕事は退屈なものとしか感じられないだろう。
理由5
最後の理由は直前の理由4でも書いたが、NT型は高学歴ではないと生きづらいという点である。NT型は自身の裁量が多い職を好む。だがこのような職は得てして多くのスキルを要するため高学歴を必要とする。INTJは好奇心が旺盛で未来志向、更にはある程度は辛抱強いので、学校などという均質性の高い組織においても、成績も良い場合が多いだろう。だが興味が勉強と関係ないところにあったり、勉強に意義を見出せない場合は悲惨だ。いやでも未来志向のため無理やり頑張ろうとして多大なるストレスがかかり、自傷行為をしたり、鬱になってしまうことがある。
解決策
これに関しては残念ながら解決する方法はないと思われるが、自身の本当に好きな裁量のあることを仕事としてやることを強くお勧めする。これが非常に困難であるからこそ一定数のINTJは本来は優秀なのにも拘らず所謂落ちこぼれとして社会からダメ人間の烙印を押されるのだ。また権力思考の弱い著者のようなINTJは半ば隠遁者として暮らしていても然程苦に感じないかもしれないが、一方でTeの強いINTJにはこの烙印を押される状況はとても辛いそうで、上記の解決策は通用しないだろう。著者が会話するのに苦を感じない数少ない人のうちの1人であるTe優位のENTJは、興味がカメラなどの勉強に関係のないことに興味があったため、一部の勉強が疎かになり特定の科目が極端に苦手でかなり苦悩していた。だが、そこにINTJの長期的な視野や努力家な一面が真価を発揮するので、勉強だけに限らず、自身の専門性を持って自身の居場所を見つけることに注力することをして頂きたい。
結論
以上のようにINTJは、一見いけ好かない一匹狼のようにも見えるかもしれないが、実際は他タイプには理解し難い様々な悩みを抱えているということをお含み置きいただきたい。
本稿が自身のことを少しでも多く知ることの手助けとなったら幸いだ。
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