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『和階堂真の事件簿』のマップの話-その1-

 みなさん、こんにちは。グラフィック担当のハフハフです。
 私は曲がりなりにもグラフィック担当ですので、今回も前回に引き続いてグラフィックに関する話ができればと思います。
 プレイされた方はご存知かと思いますが、和階堂真の事件簿シリーズでは(2以降)見下ろしマップによるステージ移動を採用しております。
 見下ろしマップがあることによって、ステージ間の位置関係を理解してもらったり、世界観にリアルさを付加できたり、まぁそういった諸々の効果を演出できたのではないかと思いますが、皆様いかがでしょう。
 今回はそのマップについて掘り下げてお話ししたいと思います。

マップ機能のUI変更の理由

 1作目の『処刑人の楔』では横移動によるステージ選択を採用していました。『処刑人の楔』は「ひとつのステージを調査、クリアすると次のステージが開放される」というステージクリア型に近いストーリー構成だったので、アクションゲーム的な横移動型のUIが最適でした。

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 それが2作目『隠し神の森』で「最初から複数ステージを歩き回って調査する」というストーリーになったことで、横移動型のマップはステージの位置関係や特徴を理解しにくい上、UIとしての操作性も悪くなってしまったわけです。1画面でわかりやすくステージ選択ができる見下ろしマップを採用することになりました。

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『隠し神の森』集落のマップ

 このUI変更によって見下ろしマップを描くことになったわけですが、この時すでにステージ構成はすべて決まっており、一部の背景は描き終わっているという状態でした。
 ストーリー上、調査すべき場所=ステージ構成はすべて確定しているので、マップ上に「それをなるべく近接しないようバラけて配置させればOK」なのです。とりあえず配置すればOKっちゃOKなのですが、そういうわけにいかないのがグラフィックをやってる人間の性(さが)なのでしょうか。
登場人物たちが事件の時、どんな動きをしたのか?逆にどんな地形だと都合がいいのか?あるいはこの集落に住んでいる人々は普段どんな生活をしているのか?そんなことを考えながら作るマップは本当に楽しく、楽しすぎる程楽しすぎたため「近接しないようバラけて配置する」というルールがマジ邪魔になるほどなのでした。

「農道」それは起点となる場所

 見下ろしマップを作るとき、起点となった場所は「農道」と「千堂家の屋敷」でした。
 『隠し神の森』を作るにあたり最初に描いた背景が「農道」だったのですが、このステージ背景の目的としては「千堂家屋敷の遠景をちゃんと見せる」こと、そして「ここが横溝的田舎の集落であるとユーザーに理解してもらう」ことです。
 農道の背景を見せた時、音楽担当のあだPが「どうしようもない田舎」と表現したのですが、まさにそういうイメージでした。閉鎖的で時代や文明から取り残されたような場所です。
 農道からは、千堂家の屋敷とその蔵、そしてその背後に広がる神隠しの森まで一望できます。屋敷の横には御隠し様の社へつながる参道と鳥居も見えています。

和階堂2ステージ関連

 農道と千堂家、神隠しの森や社の位置関係はこの時点でほぼ決まったので、そこを起点として集落全体をマップとして描いていくことになりますが、あとは「駐在所」「診療所」といった村の住人たちが利用する施設の場所を決める必要があります。これについては千堂家と村人との距離感をマップ上に落とし込むにしました。

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 千堂家と神隠しの森、御隠し様(を祀る社)という関連性、集落の中での千堂家と村人の関係性を地理上でも表現できたような気がしていますが、いかがだったしょうか。

 さて3作目の『影法師の足』では、犯罪蔓延る港町が舞台になります。そこでハフハフは「高度成長期に発展した港町の歴史」を妄想しながら地図を作ることになるわけですが、それはまた次回。

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