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感想『無痛の子』 リサ・ガードナー

大けがを負った刑事DDは、ペインクリニックの精神科医アデラインと出会う。
アデラインは先天性無痛性で痛みを感じることができない。
そして彼女は四十年前に亡くなったシリアルキラーハリー・デリーの娘であり、州最悪の女性殺人鬼シェイナの妹だった。
怪我をしても、やけどをしても何も感じない。
命を落とすような大けがを負っても、何も感じないアデラインは、危険のサインが分からない。
自分の身を守る為、皆が当たり前にやっていることが出来ず、常に孤独な傍観者でいるしかなかった。

DDが追う殺人鬼の手口が、かつて父が行った猟奇殺人の手口と酷似していることに気づいたアデライン。
シェイナが今回の殺人に関わっているのではないかと疑った彼女はDDと共に姉と対面する。
自分の足枷になっていると分かっても、血から逃れられない。
苦しくても、本当の意味で理解し合えるのは家族だと思ってしまう自分に嫌気がさす。
孤独な姉妹の魂の物語と並行して、エネルギッシュな女性刑事DDの物語も描かれる。
DDの勢いがストーリーの救いになっている。
また、女性受刑者が抱える恐怖や苦しみが読んでいて辛かった。
刑務所だからといって、個人の尊厳をないがしろにしていいわけはない。
様々な女性達の生きざまに感動した。

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