「忖度」政治とムラ社会
政治家までが上の者に忖度するようになったとは。しかも本人がそれを口にするとは(後に一応否定したが)驚きだ。忖度は本来、以心伝心に行われるものだからである。
それはさておき、行政の世界のみならず政治の世界でも忖度がはびこっているとしたら、やはり深刻に受け止めなければならない。拙著『「承認欲求」の呪縛』で述べたように、共同体型組織、言い替えれば「ムラ社会」のなかではメンバーが上位者からの承認に強く依存し、しかも今世紀に入ってからはその依存度がいっそう強まっているからだ。
森友・加計問題で表面化した官僚の忖度はその象徴である。かりにそれが政治の世界にまで波及しているとなると、弊害は途方もなく大きい。ただ、それを特定の政権や政治家の間の出来事としてとらえていては、問題を矮小化してしまう。なぜ上位者の承認に依存し、それが強まっているのかというところから出発しなければ「忖度政治」「忖度行政」はなくならない。
今回の「忖度」発言を機に、「忖度政治」「忖度行政」を生む組織構造に思い切ってメスを入れるべきだろう。
https://www.asahi.com/articles/ASM454F5FM45UTFK00P.html?iref=comtop_list_pol_n01
「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。