第四次産業革命の時代にデザインが重要視される理由(書き起こしメモ)
この記事は、Voicyで話したことを要点だけ書き起こしてみて、シンプルに再編したものです。(元の放送はこちら↓)
そもそも「第四次産業革命」とは
おそらく第三次産業革命までは教科書で習ったという方が多いのではないかと思います。
第一次産業革命は蒸気。
第二次産業革命は電気と石油。
第三次産業革命はコンピューター。← 今ここ
そしてこれから来る第四次産業革命というのは……
「モノ」と「インターネット」がつながる産業革命です。
いわゆる、IoT!(昔の言葉でというとユビキタス!笑)
バズワードすぎて軽薄に聞こえますが、IoTというのはようやくバズワードから抜け出し現実になろうとしています。
なぜなら技術が追いついてきたから。
家でも外でも、人間が持つあらゆるモノがインターネットにつながります。冷蔵庫、車、鍵、バッグ、財布、電気、靴、服、フォーク、コップ、お皿、トースター、机、椅子……それらをつなぐインターネットにおける膨大なデータ通信が「5G」によりリアルタイムに実現され、「AI」がその膨大なデータを分析する……。。
みたいな感じで、IoTとか5GとかAIとかビッグデータとか今まで現実的じゃなったのでバズワード扱いされていたテクノロジーたちがついに日の目を見る時代に突入したんです。
これはぼくの主観ですが、おそらく自動運転で我々はそれを一番実感することになると思われます。
渋滞・路面・信号・車両・歩行者みたいなデータがリアルタイムに何万台もの車たちの間で共有されて、最適なルートを計算して勝手に進路変更して目的地まで運んでくれたりするんですよ。
もう免許とかいらなくなるんじゃないですかね?
最近クルマの事故多いですよね。池袋でちょっと前に脱法ハーブ吸ったまま運転して事故った事件あったなと思ってたら、つい最近にも元院長が足悪いのに運転して暴走して親子2人殺しちゃった。保育園の園児ひき殺し事故とかもあった。
それの反動で人間に運転まかせちゃだめだって自動運転の流れが来る気がするんですよね。日本でもはやく規制緩和されるといいですね。
話がそれましたが、第四次産業革命ってのは自動運転みたくモノとインターネットがつながりまくる時代ということで、じゃあ、そんな時代になぜデザインが重要視されているのかというのが今回のテーマなわけです。
デザインが重視される理由
その理由を端的にいうと、「インターネット産業においてデザインがとても重要だったから」です。
……僕が変にデザイナーなのでポジショントークみたいにきこえちゃうかもしれないけれど、事実としてインターネットビジネスにおいては、デザインは今も超重要なファクターなのです。(逆にいうと、だから僕はデザインを仕事にしています)
それを3点に分解してお伝えします。
1. 使い勝手が「ビジネスに与えるインパクト」が大きい
これは同意してくれると思うんですけど、Webサービスにおいては、使い勝手というものがビジネスに与えるインパクトがとても大きいです。
使い勝手が悪いものは使われなくなっちゃうし、逆に使い勝手を少し改善するだけで目標としている数値が格段に上がったりするのがWebというものです。
僕は前職ヤフーにいたんですけど、ヤフーの検索窓を1px太くしただけでなんと売上が5億円増えたという事例がありました。
1 p x で 5 億 !
そんな肉眼じゃパット見わからないレベルの使い勝手向上でも5億円増やせるんだと新卒の僕は度肝抜きましたね。
これがたとえば車だとしたら、別に車の車高が1mm高かろうが100g軽かろうがおそらく売上にはあまり影響しないですよね。(と放送のときに言っていましたが、これはこれでプロダクトデザインに対して失礼だなと後で反省しました。今は「1mmや100gが車のすべてを左右することだってあるだろうな」と思っています。)
ということで、Webサービスにおいては使い勝手がビジネスを大きく左右するため、デザインというものが重要となってくるわけです。
2. サービスの「スイッチングコスト」が低くなっている
世の中はモノを売る時代からサービスを売る時代になっています。
ビジネスモデルもどんどんサブスクリプションが鍵になっています。
Adobeも月額課金制にしましたよね。
そうなると質の低いサービスはすぐに別の代替手段に変えられてしまいます。
つまり、モノの時代に比べてサービスの時代はスイッチングコストが低いということです。
たとえば、高級車を買ったけど、実際乗ってみたら気に入らなかった……違う車買お……とはなりにくい。
けれども、
楽天使っててダセエと思ったらAmazon使えばいい。
Rettyの評価参考になんねえよと思ったら食べログ使えばいい。
Apple Musicいいコンテンツないなと思ったらSpotify使えばいい。
つまりユーザー側からすると「買っちゃったからこれで我慢するか」ってことをしなくていい時代になってきている。
逆にサービス提供側は今まで「ビジネス=売ったもんがち」の世界だったところを、もはや売るときの上っ面だけよくても実際使って中身みてダメだったらすぐ捨てられちゃう世界に突入してるわけなので、サービスの品質こそが重要になってきている。
すなわちクオリティに責任をもつ「デザイン」という作業が重要視されているわけです。
3. チャネルの獲得ではなく「愛されること」が重要になっている
モノの製品の時代は、適切な量販店のチャネルをおさえることがかなり重要でした。
ビックカメラにおいてもらうとか。
駅ビルに店舗だすとか。
しかしながらアプリの世界では、大企業のアプリもベンチャー企業のアプリも、アプリストアで公平に並べられていますよね。
つまりユーザーが好きなものを自由に選びとる権利を取り戻したわけです。
使いやすくて、改善頻度が高くて、ユーザーの声をきいてくれて、愛されるアプリこそが、ストアの評価が高くなり、ダウンロードされやすくなるのです。
だからデザインが重要だったわけです。
まとめ
……というわけでもう一度おさらいすると、
1. 使い勝手が「ビジネスに与えるインパクト」が大きい
2. サービスの「スイッチングコスト」が低くなっている
3. チャネルの獲得ではなく「愛されること」が重要になっている
この3点の理由から、Webサービス時代においては、ユーザーの声をききながら品質を高めるデザインの力が非常に重要だったのでした。
この流れは、特にスマートフォンの誕生以降は顕著です。
スマートフォンのおかげで、みんながWebサービスを自分の手元の端末からかんたんにアクセスできるようになりました。
結果、今までパソコンでできたことをその小さな画面でもできるようにしなければいけなかった。
だから「使い勝手」が競合優位性になりえた。
アプリが気に入らなかったらストアですぐに別のアプリを探せるし、Webとは違ってアプリは自分のスマホのホーム画面にアイコンをおくことになるから「愛せる」ものをおいておきたい。
よって、スマホは結果的にデザインの必要性を格段に高めることになったのです。
で、第四次産業革命の時代。
つまり現実世界のモノに、インターネットが入っていく時代。
何が起こるかというと、そのモノにも同じように「デザインの品質」が問われるようになるわけです。
すると、ユーザーの声をきかずメーカーの内部で盛り上がってつくっちゃったなんちゃってIoT冷蔵庫とか、番号のところしか使わないのにいつの間にかめちゃめちゃ縦長になって使ったことないボタンが山ほどあるテレビのリモコンとか、みんなGoogleマップを使ってることに気づいてないカーナビとか、そういうのがなくなっていくと思うんですよ。
生活者にとっては非常にありがたい限りですね。
第四次産業革命はこれから始まる革命です。
その革命においてデザインが重要であることはおわかりいただけたと思うので、デジタル・リアルプロダクトに関わらずサービスをつくるデザイナー諸君は、自分たちのもつデザインという武器に誇りをもって、僕たちの生活を1pxでも豊かにしていただくことを切に願います。
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