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LOVE FM「スイッチオン! DAYTIME」2023.1.10 インタビュー出演

福岡県福岡市の放送局LOVE FMで月から金12:00〜15:00まで放送されている「スイッチオン! DAYTIME」の番組コーナー”Good Ness Buisness!”に出演した際のインタビューの模様をテキストに起こしています。2023年1月毎週火曜日に出演しています。建築家 水谷元や福岡の代表的な建築等を毎週ひとつご紹介させて頂きます。

サチ:この時間はグッドネスビジネス。今月火曜日は建築家の水谷元さんにお話を伺っています。ハジメさん、よろしくお願いします!

水谷:よろしくお願いします。

サチ:ここでですね、ちょっとね、また紹介させていただきますけれども。水谷元さんは福岡の能古島に自宅兼事務所水谷元建築都市設計室を構えていらっしゃいます。事務所をオープンされたのは2011年ということでスタートされて。まあ、小さなところは小屋から商業施設、オフィス、個人の住宅まで。「いろいろ基本的にどんなことでも何でも相談してください」というスタンスでお仕事をなさっています。こんな感じで大丈夫ですか?

水谷:はい、だいたい合っています。

サチ:だいたい?ちょっと違った?(笑)。

水谷:だいじょぶです(笑)。

サチ:今日もよろしくお願いします。前回は基本的なところはどういう活動されてるかとか、それから毎回もう福岡の建築家の視点から見たらここが面白いよとか、ここってみんな知ってねってというポイントも毎回聞いていきたいということで、そういったお話を聞いていきたいんですけども。
今日はですね。建築家の道に進んだ経緯を教えていただきたいんですが。

水谷:はい。

サチ:その前に今日の番組のテーマは、年明けに何を初めてやったかっていうお題を頂いたのがハジメさんだったので、ハジメさんにも答えてもらってもいいですか?

水谷:ぼくはですね。いつも1月2日が島の幼なじみの同窓新年会でして。それに行く道の途中に島の神社があって。初詣を毎年恒例で会場に向かう途中に。

サチ:そこで必ず?毎年欠かした事ない?

水谷:はい、たぶん欠かした事ないです。

サチ:私みたいに仕事に関することを慌ててやっていたとかじゃないんですね(笑)。

水谷:メールのやりとりとかはしてました(笑)。

サチ:さあ、ハジメさんにはね、お仕事のやり方、いつもどんなことを考えてデザインを進めていらっしゃるかというのをここで今日は聞いていこうと思うんですけど。

水谷:どこから話そうかなーと思ってたんですけど。ずっと感染拡大が続いてたじゃないですか。

サチ:はい。

水谷:この3年間いろいろずっと考えたんですね。もうほんとにその前からですけど、なんとなく世界が殺伐としているような感じがありますよね。ウクライナの事だったりとか、トランプの事だったりとか。なにか、もうちょっとみんながうまくいくような状態っていう、なんかないかなーと思ってたら、その時に”中庸”っていう言葉を覚えて、”中庸”の意味が「過不足なく、調和がとれていること」っていうのを覚えまして。中庸ってすごく素敵な言葉だなぁーと思いまして。それで自分が今までやってきた仕事を振り返りまして。設計してる時っていうのは夢中だったりとかするんですよ。依頼主さんのヒアリングをしたりとか、ほんとにデスクに向かってひたすらスケッチしたりとか模型をつくったりということがほとんどなんですけど。何か振り返ったときに自分はどういうプロセスで何を大事に設計しているかなーと思ったら。つなぐこと。例えば、地域と地域とか、地域と家族とか、家族同士だったりとか、そういうつなぐことの1つの間として仕組みとして、建築とか空間をデザインしているなーって、すごく最近思って。このつなぐっていうのを意識して家の壁とか梁とかをぼーと眺めていたら、木の節ってあるじゃないですか。”節”ってつなぎ目だなと思って。最近”節のデザイン”と言っています。あと”節目”という言葉もあるじゃないですか。建物が建つ時って祝祭感あるじゃないとか、昔だったら餅まきとか。何かそういう建物を作るっていうことが何かと何かとつなぐことだったりとか、必ず何かの節目にある。例えば天神ビックバンもそうだと思うんですけど。それで、最近”節のデザイン”って言っています。

サチ:中庸…節のデザイン…帰ってもう一回復習しますね(笑)。

水谷:はい。なんだったらテキストで送りますよ(笑)。

サチ:短めなテキストで(笑)。

サチ:なるほどね。何もまで何なんとなく捉えていたものを気づきがあることで、これからの建築のデザインとかにもまた変わってきたり、反映されたりするんでしょうね。

水谷:そうですね。

サチ:だからってちょっとこれ違うけど、ハジメさんのよくインスタグラムを拝見してるんですけど、ストーリーズに出てくる写真っていうのはすごい接写が多かったり、食べ物もそうだけど、そしたらこっちの見方が変わるし、ハジメさんの目はこういう風に捉えてるんだとか、遠景もありますけど、昨日とかもう、あれ福岡でしょ?写真まだ残ってるかなー。むちゃくちゃきれいだった!皆さんにあの写真をシェアしてもいいですか?

水谷:夜は夜景もアップしましたね。

サチ:ハジメさんの目のフィルターっていうのは、私はぼーとして気づかないことが気づかせてもらうとか、お話を聞くだけでも何か考え方もこれから変わるかもっていうことで、中庸…節のデザイン。今日はちょっとインプットして帰ります。
さあ、そんなハジメさん建築家という仕事ですけれども。建築家の視点から福岡のここに注目!ここが面白い!というスポットを毎回ピックアップしていただいています。今日はどんなお話をして頂けるでしょうか?

水谷:今日は先週もちょっとお話しに出ましたけど。やはり年末12月28日に磯崎新さんの訃報があったので、この機会なので。大分出身で福岡にも縁のある方なので。オリンピック誘致のときの福岡のマスタープランは磯崎さんが作ってて。1回目の時ですね。山笠に乗ったりとか。それぐらい縁のある方なので。あの、建物の寿命って耐用年数は物理的に古くなったいうよりは社会的な要請で寿命を迎えることが多いんですよ。

2016年夏季オリンピック誘致の際の福岡オリンピック構想の製作総指揮は、磯崎新が担当。国内開催候補地を決める際に東京に敗れた。

サチ:社会的な要請で?

水谷:経済的な状況だったりとか、あと法律だったりとか。そういう時代遅れになってしまうことで耐用年数を迎えてしまうっていうことが多々あるんですけど。今、福岡で再開発がずっと進んでますけど。磯崎さんの建築も例外ではなくて。博多駅前に建ってた西日本シティ銀行本店。今も無くなっちゃいましたけど。やっぱりひとつの代表作であり、1971年の作品です。

西日本シティ銀行本店(旧・福岡相互銀行本店)
福岡相互銀行本店として博多駅前に1971年に開業。設計は磯崎アトリエ。2020年に再開発のため、解体された。
※番組内では1889年とお話しましたが、その年は博多駅開業の年です。

サチ:ものすごく惜しまれて。ググってもすぐ出てきますよね。

水谷:まず磯崎新っていうと、福岡の人はあれかなと。建築家の名前を知らなくても博多駅前ですごい目立っていたので。

サチ:そうなんですよね。

水谷:無くなってしまったので見ることができないんですけども。何が凄かったかっていうと、まだ博多駅前って建物が低くて何もなかった。ほんとに空だけが広くて。もともと福岡の建物が低くて空が広いと言われますけど。福岡でも高層のビルとしてはあれが多分最初だったと思うのですが。その時の依頼が福岡の街のシンボルになるような建物の設計してくれと。とはいえ、銀行の機能としてそんなに床がいらなかったらしくて、まだ銀行としてはまだ大きくなかったから。だから、細く、高く作っているんですよ。各階の床を小さくしてわざと積み上げて高く見せるっていう。まだ日本では使われたことのなかったインド砂岩という真っ赤な石を輸入して、青い空の中に真赤な建物がそびえているという。

サチ:あの途中ちょっと足してます?

水谷:足しています。銀行機能が大きくなって増築しているんですけど。砂岩なので、風雨にさらされて、最後の方はちょっと柔らかい落ち着いた色になっていましたけど。当時は真っ赤で、青い空の中に目立っていたと聞いています。

サチ:あー確かにあれがもうちょっと鮮やかな色だったら今日の私の赤いセーターくらいにバエてたかもしれない(笑)。

水谷:でも他にも高い建物が建ってしまって当初のもともと依頼された役目としては果たしたのかな、と。ただ歴史的な建築であったので、当時の時代を象徴するものとして残すっていうのもよかったんじゃないかなと思いますけど。

サチ:あともう一軒?

水谷:無くなってしまったので。でも、磯崎さんの建物を見たいという方も多いかと思うので。

サチ:見たい!見たい!

水谷:商業施設だったら入れるじゃないですか?それで、薬院に河庄で修行された山中さんという方がオープンしている、お寿司屋さんがあるんですよ、やま中っていう。それが磯崎さんの設計なんですよね。

やま中 本店
磯崎新の設計による店舗建築で1997年に竣工。カーテンウォールとコンクリート打放しのモダンの外観だが、内部の建具や装飾などはポストモダン。

サチ:でも、勝手に入ってはいけないですよね?(笑)。

水谷:ランチだったらそんなに高くないですよ(笑)。

サチ:ちょっとドキドキしますよね。よく調べていきましょうね(笑)。

水谷:磯崎さんのなにが凄いかっていうと。世界的に活躍する有名建築家って建築を見たらこの人の建築って大体わかるんですよ。なんとなく、その人のアイコンになるような、例えば特徴がちゃんとあるんですけど。磯崎さんはないんですよ、それ本人も言ってるんですけど、わざとらしいんですよ。

サチ:オーダーのとおりにっていう感じ?自分の感じをあえて出さない?

水谷:もっと深くて。ちょっと面倒くさいんですけど(笑)。
磯崎さんの論考は当時から難解だって言われてるんですけど。それもわざとらしいんですけど。常に自分がどこにいるのかっていうのを見せないようにするっていう。

サチ:じゃあ、見せないようにしているのが見えたら本物ですね!

水谷:つかめたかなって思ったら、全然違うことをまたやる。もともとアーティストとの交流がすごく多かった人なので、そういう批評精神というか。常に自分の過去の建築に対しても批評的であって同じ事はやらないっていう。大体ありますよね、例えば歌い手さんとかでも絶対特徴がありますよね。そういうのがつかめないのが磯崎さんという。

サチ:わー…やま中(笑)。他にも福岡で行けるとこありますか?

水谷:北九州市には結構いっぱいありますよ。市立美術館とか、図書館とか、福岡市内だったら…やま中かなぁ…まあ、2万円くらい握り締めて(笑)。

やま中さんのサイトを確認したところ、ランチメニューは1人前にぎり3,850円からありました。

サチ:でも食事を楽しみながらそういった建築に親しめるっていうか、こう思いをよせれるっていうのはいいですね。

水谷:実際、磯崎さんの建築や空間体験を味わいたいからって来られるお客さんも多いって聞きましたよ。僕、ちょっと見学させてもらったんです。2階の大人数のお客様も予約のお客様を入れるお座敷まで見学させてもらって。ランチ行っただけなのに「建築家なんです」とお話をしたら。ぜひ、見てくださいと。

サチ:私が建築家なんですって言ったらバレますよね(笑)。でも、熱心な方がそうやって気持ちを伝えれば「いいですよ」ということもありますよね。12月28日に亡くなられた磯崎新さんの建築について教えて頂きました。もっと詳しく知りたいという方も情報はほんとインターネット等で調べればたくさん出てくると思いますので。ぜひ、調べてみてください。ハジメさん、今日はもう、ものすごい私も賢くなった気がしたんで!後でちゃんと復習するんで!(笑)。

サチ:はい、じゃあ、ハジメさんは音楽も大好きと言うことで、曲を選んで頂いています。今日は何を選んで頂いたんでしょうか?

水谷:今日はJanet JacksonのGot till it's goneをリクエストしたんですけども。Q-Tipのラップが好きなんですよ。

サチ:ですねー、そうですね。もう曲が出た時、このコラボレーションは!もう、堪りませんでした。

水谷:あと、気づいたのが単純に音数が少ない曲が好き。当時は大学生だったのでJoni Mitchellをサンプリングしてるっていうのを知ったのは後で知りましたけど。いろいろ思い出のある曲ですね。

サチ:”Less is more”っていうMiles Davisの言葉がありますからね!

水谷:あ、それ建築家のMies van der Roheも同じこと言っていますよ。

サチ:あー!通じた!通じたー!(笑)さあ、曲をお送りして。来週もお願いします。

水谷:よろしくお願いします。

サチ:グッドネスビジネス。今日は建築家の水谷元さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

水谷:はい、ありがとうございました。

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