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建築を1000件解説 on Clubhouse 達成

【1000件(以上)登録完了のお知らせ】
Cloubhouseの開催していた【あなたの #オススメ建築 教えて】でご紹介頂いた全物件を、Googleマップのマイリストに統合致しました。過去の物件を精査し、ナンバリングし直したところ、全部で1012件ありました。出張先や旅行先、普段利用している施設など、圧倒的に関東が多いですが、最北はアイスラインド、最南はタスマニアまで、世界各地様々な空間をご紹介頂きました。作業には、モデレーターメンバーを含め、ルームにご参加頂いていた有志のメンバーにご協力頂きました。ありがとうございました。
ぜひ、散歩や旅行先での見学先にご活用ください。

オススメ建築のマイマップはこちらから。
Googleマップ オススメ建築マップ

2021.10.19 水谷元

今年の1月から始まった音声SNS Clubhouse。7月からは招待無しでアカウントを作ることができますが、当時は招待制でした。Twitterを通して招待してもらい、すぐにアカウントを作りました。

当初は同業者の方のアカウントも多く、同業者同士で交流を深めるルームも巡っていました。しかし、感染拡大禍の中、すでにZoomなどを使って議論の場は設けられていました。Clubhouseアカウントを作った最初の印象は居酒屋やBARの様な多様な出会いの場。感染拡大で日常的にあった街での出会いが枯渇していた僕にはそこに魅力を感じていましたから、あまり同業者との議論に興味は持ちませんでした。

しばらく利用してから、アプリのトップページに表示される「ルーム」のタイトルに気になるタイトルを発見し、それが「あなたのオススメ建築を教えて」との出会いでした。モデレーターのSさんが参加者の方からオススメの建築を伺っていました。

「どうやら、同業者の方ではなく、専門家ではない方が建築についての情報交換をしているみたい…」

聴者としてルームにお邪魔していた僕のプロフィールにすぐに気付いて頂き、私もスピーカーとして参加させてもらいました。そこから毎日の様に通うようになりました。最初のうちは、手を挙げた聴者の方のすべてに登壇頂き、制限なしにおすすめの建築を伺っていましたが、何度かSさんと相談して、1人1件のみ建築と思い出を語って頂き、私がその建築の特徴と魅力を解説するというルールができました。

ルールが定着してしばらく経った頃、予定されずに紹介される建築の特徴と魅力を解説するのが、ひとつのトレーニングのようだと感じ、冗談で「これは建築1000本ノックだ!」と感想を発言しました。そこから、参加者にご紹介頂く建築を1000件解説するということが目標になりました。

しばらくは音声SNSの新鮮さで盛り上がったClubhouse。一時期は1日に10〜20件、仕事の締め切りが近い日以外は平日土日祝日関係なく、ほぼ毎日の様に参加していました。さすがに辛いので、土日祝日はお休み、1.5時間/日とさせてもらい、そこからは平均5〜8件。

そして、2021年9月3日、1000件の目標に達しました。

1000件まで続けるモチベーションになったのは、建築に興味を持つ人が増えていくことの実感です。建築と思い出をご紹介頂く方達から最も多かった感想は「日常的に意識して建築を見るようになった」「街を歩きながら今夜紹介するための建築を探すようになった」というものです。感染拡大で旅行もできない現在ですが、市街地に暮らしている方たちは特に普段から建築に触れているはず。何気なく通り過ぎていたり、利用していた「建物」が「建築」という対象に変わっていく瞬間を感じていたことです。

建築を学ぶ側は建築を見る時にそこでの賑わいを風景として捉えることがほとんどですが、結婚式を挙げたチャペル、恋人に告白した場所、別れた場所、落ち込んだ時に心落ち着かせる場所、旅でのトラブルや笑えるようなシーン、空間体験と共に建築での思い出がひとりひとりにあり、特別であることを改めて実感しました。

ご紹介頂くのは国内外の有名建築だけではありません。過去に旅したアフリカの集落などもありました。その集落を解説する際に紹介させて頂いた本が、原広司さんの「集落の教え100」です。

書籍を紹介するとライブでAmazonの在庫が減っていくのが目に見える…
普段なら建築学生や専門家しか買わないような本がどんどん売れていく…


東京大学工学部建築学科の前身、建築を専門的に教育する工部大学校が日本に開校したのは1873年、建築学会の創設は1886年です。長い歴史の中で先人たちが積み上げた知に触れ、建築を真に理解するためには高度専門職業教育が必要なのは言うまでもありません。しかし、建築を生業にする私たちの心の深層には「建築が好き」という純粋な思いがあります。

私たちのように建築を創造する側ではなく、日常的に利用する市民に建築への理解を促す活動は多くありません。忙しさにかまけて疎かになりがちかもしれません。日常生活を犠牲にしていたのも事実ですが、Clubhouseを通して、建築に興味を持ち、好きになってくれた人たちがいることに誇りを感じ、毎日を忙しく過ごす人たちの日常を建築が豊かにしてくれたことが、とても嬉しいです。

建築を堅苦しく考える必要はありません。これからも日常的に建築と空間体験を楽しんで頂ければ幸いです。それだけで十分。ただ、叶うならば、このルームに参加して頂いたみなさんの心に、街を創る当事者の意識が少しでも芽生えてくれたら…と願います。ひとりひとりが、どのような暮らしが理想なのか、そのためにはどのような建築や都市の空間が必要なのか、その先にどのような風景が広がってほしいのか…を、日常的に考えてくださったら、どんなに素敵だろうと思います。

"You Are Your City"
(あなた自身があなたのまちです)
- Birmingham City Council
"The city is like a great house, and the house in its turn a small city."
(都市は大きな家である、その家たちは小さな都市である)
- Leon Battista Alberti

たくさんの方から「ルームがなくて寂しい」「毎日の楽しみがなくなった」とお言葉を頂きました。

1000件を終えて、一区切り。今は休憩させて頂いています。私やご協力頂いた私以外のモデレーターの方たちの日常をこれ以上犠牲にするわけにはいきません。しかし、私の思いをよりたくさんの人に感じ取って頂くためにも、開催を減らし、カタチを変えて継続しようと思います。

次回、9月14日(火)※タイトル未定 開催します。

ご支援・ご聴頂いた皆様、モデレーターの皆様、改めて感謝申し上げます。
水谷元


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