ブックガイド(102)「三日月少年の秘密」(長野まゆみ)
2003年の作品。長野さんの独特の世界観に魅了された。
宮沢賢治を思わせる童話風の世界
夜届いた"少年電気曲馬団"への招待状に誘われて、お台場へと向かったぼく。遊覧船は知らぬまに"日付変更線"を超え、乗り合わせた少年と二人、時を超えてしまう。東京タワァ完成祝いの点灯式を見に行った僕たちが観た者とは…。空中電氣式人形の秘密とは?
宮沢賢治ブームが起きた80年代
思えば、80年代の少女漫画界隈には、宮沢賢治のブームがあり、またガロやマンガ少年では宮沢賢治をオマージュするようなますむらひろしさんのアタゴオルやヨネザアドの作品があった。その延長上に長野まゆみさんの作品が生まれるべくして生まれた感がある。
旧字体を多用して流麗な文章は、読む快感を与えてくれる。少年、電気、鉱石、機械など、描かれる世界に今風に言えばスチームパンク的な味もある。
空中電氣で動く、人間そっくりの三日月少年。
80年代はJUNEとかBLとかのムーブメントが兆した時代でもあった。長野さんはその時代に生まれた作家なのだ。
「三日月少年の秘密」
長野まゆみ公式ウェブサイト
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