映画レビュー(183)「リバー、流れないでよ」

ヨーロッパ企画制作によるオリジナル長編映画 2023年

傑作「サマータイム・マシン・ブルース」のヨーロッパ企画の上田誠の原案・脚本。監督はやはりヨーロッパ企画の山口 淳太。
冬の京都、貴船にある老舗料理旅館「ふじや」。
仲居のミコトは別館裏の貴船川のほとりで佇み、こぶしをそっと握って何か物思っている。まもなく仕事に戻り、番頭と部屋の後片付けをするが、気づくとなぜか2分前にいた貴船川のほとりに戻っていた。
やがて、その2分間を何度もループしていることに気づいた。意識は残っているのだ。このループから抜け出すための悪戦苦闘を描くコメディ。
この繰り返すループが、登場人物たちの迷いや悩みの暗喩になっていてドラマを掘り下げる。おなじみの手法ではあるが、その心地よさを堪能できる。コメディーはこうでなくっちゃ。
イタリアやコロンビアなど世界各地の映画祭で入賞した作品である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?