制限と解放
「山本さんを制限しているのは山本さんなんですよ!わかります?!」
今まで
「ふきこぼれ山本」
と名乗って言葉を書いたり話したりしてきた。
とても愛着がある名前。
20年の間「ふきこぼれ山本」でいた。
「芸人さんですか?」と言われることもあったし、
「ふきこぼれ」という脱力感と
「山本」というありきたりな苗字の組み合わせが割と人間性にハマってて好きでいた。
前のブログを読んでもらえれば分かるが、
「ふきこぼれ」というのは、学生時代に組んでいたアートユニットから来ている。
その時の経験が、自分の中で大きくて、
なかなか手放せずにいた。
そこで、浮かんできたのが、
冒頭の言葉である。
少し前、このnoteで出会った友人と
飲んでいた時のこと。
友人はほぼ同い年、通ってきた文化や
あれこれが似ていたもので、
この40手前独身のあるあるを肴に
くだをまいていた。
「こっからどうしていくかねぇ、文章書いててもいまいち振り切れない自分がいるし、自己分析しすぎて、自分はこう!ってのが決まりすぎててそこから出れないんだよなぁ」
、、、山本さんあのね、
「山本さんを制限しているのは山本さんなんですよ!わかります?!だーめだって!」
「そ、そっすかね...」
友人がつまんでたやみつきキャベツがポリポリと音を立てて続く。
「山本さんが誰かと話す時、こういう時はこう言ってあげた方がいいなとか、そういう自分を求められてるからこう答えようとか、そんなん考えなくていいんです!
自分が言いたいことを言った方がいいんです。昔の自分が、こいつ良いなって思える自分になりましょう!山本さんがそうありたいと思ったらそうなるんです!」
「お、おう...」
僕はデザートのみたらし団子を食べながら、
今、幸運のツボでも勧められたら買っちゃうな
と、思っていた。
「・・・山本さんつまんねえ」
友人の言うことは一理ある。
中途半端な経験値と、中途半端な技術で
当たり障りのない言葉や
毒にも薬にもならん会話を繰り広げて、
山本さんは優しいですね、
ボキャブラリーが豊富ですね
なんて言われて
これでいいんだって思ってた。
それも悪くはないんだけど。
もっと、数少なくても良いから
深く刺さる言葉を扱える人間になりたかった。
自分を制限しているのは自分
自己解放のわかりやすい所で、
心機一転、名前を変えてみる事にした。
昔、一時期だけ、
「きやまはじめ」
と言う名前を使った事があった。
由来は単純
山本
本山
木山 一
きやまはじめ
そのままその名前を使うのもなあ、
ふきこぼれとして生きてきたのも自分なので
ふきやまはじめ
吹山 はじめ
として
はじめっから、また書き出します。
もう
「山本さんつまんねえ」
と言われないように。
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