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まえばし心の旅041:節分

「鬼は外!福は内!」。先日の節分では、みなさんご家庭でも、豆まきをした方もいらっしゃるかもしれない。我が家も、小規模だが、豆まきの真似事の様なことを行った。

 節分となると思い出す光景がいくつかある。一つは、三俣神社の豆まきだ。私がまだ幼い頃、三俣に住んでいた曽祖父に連れられて、三俣神社の豆まきに参加した。曽祖父も私も、着ている洋服の上から、紫色の簡易的な裃(かみしも)の様なものを着た。そして、仮設で作られた櫓(やぐら)の上に上がり、大きな枡の中から豆を撒く。下には、地域の方などが集まっていて、かなり賑やかだったような記憶がある。多分その頃、曽祖父が神社や町内の役員かなにかをやっていたので、その様なことをやらせていただいたのだろう。

 同じ頃だと思うが、日吉町の祖父母の家では、焼いた鰯(いわし)の頭を柊(ひいらぎ)の枝に挿し、門の外に貼り付けていた。「こうやっておくと、鬼が来ないんだよ」と、祖母に教わった。夜になると豆まきを行い、畳の上に転がっている豆を拾って食べた。「年齢の数だけ食べるんだよ」と言われて、その時はそれに従うが、まだ小さい私は、食べられる豆が少なかったのが、なんか不満だった。しかしその後にこたつに入ると、その反動なのか、枡の中の大豆を、好きなだけ食べていた。

 そういえば、幼稚園では、鬼のお面を作ったなあ。家に持って帰って、そのお面をつけた父に向かって豆を投げつけた様な記憶もある。

 大人になってからは、何度かまちなかの大蓮寺の節分に参加している。ここは、本堂の2階から、住職などが豆ではなくチョコレートを撒く。そして、「当たり」の様なものあり、そうすると、干支の絵などが書いてある小さな凧などがもらえた様な気がする。ただ、コロナ禍でここ数年は行われていないかもしれない。

 ネットで少し調べてみたら、総社神社でも、福豆・福銭・福菓子などを拝殿から蒔いている様だ。みなさんのお近くの神社などでは、どうなのだろうか。

 最近では、「恵方巻き」という習慣もできている。元々は関西の習慣だったようで、学生時代、関西出身の女の子から、「がぶりつきをしなきゃ」と言われて、何のことだかわからなかった。「食べている間はしゃべってはいけない」という話を聞いて、ますます頭の中にクエスチョンマークが並んだ。

 どうやらコンビニがこの習慣を全国に広めた様だが、おかけで商売熱心な多くの人がこの流れに乗っている。会社員時代は、営業として出入りしていたスーパーの会社から予約を頼まれ、会社内で注文を取りまとめたりした。たまに、贔屓にしているお寿司屋さんの恵方巻きを買ったりもしていた。

 「節分」とは、各季節の始まりである「立春・立夏・立秋・立冬」の前の日のことで、宮中で悪霊祓いの行事として行われていた。その中でも、「立春」の前の晩は旧暦では大晦日なので、年越しの日として特別な行事として民間にも残ったのだろうか。

 いろいろな伝統行事が徐々に廃れ、また一年を通じて同じ様なものが手に入り、あまり季節感を強く感じなくなって来ている。しかし、本来の意味を知りながらも、今のちょっとイベント的な節分に乗ってもいいな。

放送日:令和4年2月10日

音声データはこちらにあります。


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