石丸伸二は『令和の田中角栄』になれるのか

東京都知事選が面白い

東京都知事選がもう少ししたら公示日となる。今回の都知事選は個人的にはとても楽しみな選挙である。それは、「石丸市長」という男が出馬することを決めたからである。そう、「石丸市長」もとい石丸伸二という男にかなり期待をしているのである。そもそも、私の好きな政治家は石原慎太郎氏や田中角栄といったストレートに言ってくれる人が好きである。もちろん、正論をというのが前提だが。今の政治家は、失言や政党派閥の顔色をうかがう一方で明言を避ける人が多くなってしまった。石丸伸二は言わずもがなストレートにモノをいうチカラを持っている。これは衝突も多いだろうが、人を納得させる力も兼ね備える。
石丸伸二という男はこれまでの『政治』を良い意味で破壊することが出来る存在かもしれない。私は、大学時代に政治学を学んでいた身分ではあるが、政治というものは「政党ありき」で進むものである。これは現代の日本では「政党政治」が基盤となっているからであり、やはり政治家の思想を判断するものさしが「右か左か」という指標しかないからである。しかし、この政治家だけは「右・左」どちらかが分からない男である。基本的には新聞社やテレビは右派・左派と分かれるが、広島の地元紙中国新聞への偏向報道への忠告に対しては厳しく接していたが、基本的には右も左のどちらのメディアにも苦言は呈しているようだ。
ある程度政党に属していたら、右か左かは出てしまうものだが、この石丸伸二という男は判別がつかない男だ。都知事選の立候補表明でも話していた左右の両方を示す「紫」というのがぴったりである。一部SNSでは「上野千鶴子を尊敬している」という言葉が独り歩きしているが、これは完全に読み間違いのミスリードであり、石丸氏本人が誘致しているわけではなく、安芸高田市の市職員が企画しているものでもある。「尊敬」というワードが切り抜かれてしまってはいるが、”学者としての尊敬”と”思想”は別と考えているようである。さらには、フジによるインタビューでは桜井よし子氏にも述べている部分もあり、この姿勢はブレはないだろう。

『東京一極集中』を論点にせよ

今回の都知事選はやはり小池VS蓮舫などと知名度の高い与党と野党の代理戦争という報道姿勢が各社に見受けられる。そこまでして「争点」を作りたくないのであろうか。私は『東京一極集中の是正』に大賛成である。18歳のころから広島から東京に出てきて15年以上経つ。今でも18歳そこらの自分自身が新宿を歩いてる中で「今まで自分が過ごしていたのは日本の真ん中ではなかった、日本は東京で回っているんだ」と感じ、空を見上げたのを覚えている。渋谷の横に新宿、さらにその横に池袋などあんなに政令指定都市レベルの街がこんな近くに必要なのか。と何度も感じたことがある。
話はそれたが、「東京弱体化」というワードが見出しにもなることが多いが、内容を聞いていると「東京を弱くする=住みにくくする」というのが間違い・詭弁だというのが分かる。まず、前提として現在の東京は『過密』であることは理解していただきたい。あれだけコロナ禍でも小池百合子氏が『密です』と言っているのに、過密には言及はされず、解消はされなかった。東京都民なら自身の生活を振り返ると実感する部分はあるだろう。東京に住んでいて満員電車に乗ったことがない人はいないだろう。あってもハイヤー移動が出来る上級国民だ。あきらかに異常であり、これは過密という他ないだろう。他にも「電気代の高騰」も挙げられる。原子力発電所の稼動減もあるが、人口比に対して電気の供給量が追い付いていないのである。計画停電のような事象もこのままだと起きてもおかしくはない。暑いのにクーラーをつけないで我慢するのは「住みにくく」ないだろうか。土地や家賃の高さなども地方に比較するとかなりの違いでもある。東京出身者にとってはこの過密が当たり前になっているが故に、気づいていないのだろうかと心配にすらなる。地方出身者にとっては少しは東京の異常性を共感する部分はあるだろう。
東京一極集中が是正されれば、過密から密になり、ちょうどよい地点を探ることができるはずだ。それは都民・国民にとっても潤いを享受できるだろう。そして、私個人としても、「いつか地元に帰りたいが、東京の会社と同じような条件の仕事がない」という個人的な課題も解決されるのだろうと願っている。
ビジネスの面でも、東京一極集中が課題になる。特に飲食店・小売店などの全国チェーンや全国拠点のビジネスを行っている企業である。地方人口が大きく減っているがため、将来的には、大きな損失になってくるのが見えているのだ。飲食店や小売店はインフラではない。インフラであれば赤字路線などといって損失があるのも目をつぶる部分はあるだろうが、チェーン店は赤字が続く限り撤退という選択肢を選ばざるを得ない。こういったチェーン店に撤退されるとさらに住みにくくなるなどと負の連鎖が続いてしまう。こういったビジネスと政治は直結する部分も大きいのである。
東京一極集中の是正について、今回の都知事選は「本気」で議論をすべきではないだろうか。「郵政選挙」のように争点を作り、是々非々で判断できるようにメディアには是非ともしていただきたい。

『令和の田中角栄』になれるのか

「東京一極集中是正」についての課題は理解しつつ、実行してくれる意思があるのか、いつも私はどの政治家も本気ではないと感じていた。
石丸伸二を評価しているポイントは、右・左が分からない奇妙な政治家というポイントだけではない。『日本列島改造論』を示した田中角栄を彷彿とさせる行動力があるのである。”スマート版田中角栄”・”きれいな田中角栄”というべきだろうか。もちろん田中角栄と比較するなという意見もあるだろうが日本列島改造論に関しての視点で言及したい。
田中角栄という政治家としての人物評価は賛否はあるものの、時代は違えど東京一極集中是正について努めた人間である。地方がまだまだ道路の整備が行きわたっていないが故、東京に人口流出が進んでしまっているという時代である。そこで、『日本列島改造論』を掲げ、地方の交通網の整備・新幹線の整備を推し進めた人物である。もちろん私も生まれてはいない時代であるので、功績をすべて述べることはできないが、東京と地方の移動に関しては抜群に改善もされた。この基礎のおかげで現代もヒト・モノ・カネ・情報がスムーズに行きわたることになっているのである。
そして令和になって、時代は変われど、またもや「東京一極集中」の是正を取り組もうとしている石丸伸二という男が現れたのだ。いや、実は「東京一極集中是正」というのは元々多くの人が公約にも掲げている・掲げていたが誰も『本気感』を持って伝えてこなかったのである。現在の岸田総理も東京一極集中の是正というのは掲げている一人である。文化庁を京都に移転したが、本格的な是正には動いてはいない。とどのつまり、『東京一極集中』という課題については、石丸伸二は『別に新しいことを言っていない』のである。しかし、新しいことかのように言うチカラ、人を動かす『本気感』があるのだ。本人の言葉を借りると『危機感』だろう。
田中角栄は政治家で一番議員立法を通した男である。田中角栄は口だけでなく、行動力があったからこそ、今も語り継がれる政治家になっているのだ。今度の石丸伸二も安芸高田市での首長での経験を見ると「行動力」の持ち主なのは間違いはない。これが石丸伸二に対する私の評価である。

本質的な判断がカギとなる

今回の選挙は、公示前から立候補予定者に対する「公職選挙法違反ではないか」や「学歴詐称」などといった部分が批判の対象となっている。もちろん政治家である以上、公明正大さというのは大事だが、政治力に対する評価にはならない。上記以外にも、今回述べた石丸氏についてもSNS上で、ライブ配信の視聴数が多いことなどを発端に「工作だ、うさんくさい」などと証拠もない「誹謗中傷」が立っている。これは本質的な議論なのか、と問いたい。感情論で議論するのは以ての外なので「怪しい」などでの評価は見る価値に堪えない。「裏に某国がついている」などの陰謀論的な意見もあるが、某国がつくのであれば、某国がなぜ支持を分散させるのか疑問符がつく。
今回の都知事選は都民・国民が改めて政治に関心を取り戻すチャンスだとみている。どの立候補予定者についても「どの政治家なら東京・日本をよくしてくれるのか?」という部分だけに焦点を当てて各候補を見てみる必要があるだろう。そしてその候補にグレーな部分があった場合、それに勝るほどの政治力なのか、という点で判断をしていくことが必要となるのではないだろうか。

イノベーションは破壊からはじまる

Amazonが小売店での商売を破壊し、サブスクが音楽販売を破壊し、私たちの生活はより豊かになるこれがイノベーションの本質である。そう、イノベーションは破壊からはじまるのである。長年、政党政治というゆでガエル状態になっていた私たちに、石丸伸二という男がどのような破壊をしてくれるのかが楽しみであるという気持ちで都知事選を楽しみにしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?